世界日報 Web版

左傾化政党に希望はあるか


 米民主党の大統領候補に指名されたジョー・バイデン前副大統領は、20日の指名受諾演説で、「光」と「闇」という言葉を何度も使った。トランプ大統領が政権を担った4年間を「暗黒の季節」と位置付け、自らこそが米社会に希望を取り戻す光だと印象付けるためだ。だが、左翼傾斜が進む民主党が、果たして本当に光をもたらすことができるのだろうか。

 4日間の民主党大会で主要テーマの一つになったのが人種問題だった。バイデン氏は「システム化された人種差別の根絶」に取り組むと強調し、副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員も、19日の演説で「人種差別にワクチンは存在しない」と訴えた。

 人種問題で取り組むべき課題は多い。だが、左傾化する民主党内に広がるのは、米国を救いようのない人種差別国家と糾弾するダークな国家観だ。米国民を人種、民族、性別などのアイデンティティーでグループ分けし、その対立構図を利用するのが「アイデンティティー・ポリティクス」と呼ばれる民主党の政治戦略であり、人種問題を積極的に争点化するのはそのためである。

 オバマ前大統領は、19日の演説で「最高司令官は平和的なデモ隊に軍を動員することはしない」と述べ、人種差別抗議デモへの軍投入を検討したトランプ氏を非難した。だが、トランプ氏が抑え込もうとしたのは、あくまで極左勢力や犯罪者による暴動、略奪、放火などの破壊行為だ。

 一部都市では依然、極左勢力による破壊行為が続いている。だが、民主党の指導者たちは、党内で影響力を強める極左勢力に配慮し、一貫して「平和的デモ」と擁護している。党大会でも、暴力的デモや歴史的人物の銅像を破壊する行為への批判は聞かれなかった。社会の根幹である法と秩序を守ろうとしない政党が、希望の光になれるのか疑わしい。

(編集委員 早川俊行)