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アルジェリア大統領辞任


アラブの春第2弾、炸裂か
4期20年の長期政権崩壊

 北アフリカ・アルジェリアで4期20年にわたる長期政権を維持してきたブーテフリカ大統領(82)が4月2日辞任した。リビア、スーダンではすでに長期独裁政権が崩壊しており、「アラブの春」の第2弾が炸裂(さくれつ)したとの見方が出ている。

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アルジェリアのブーテフリカ大統領=2017年11月、アルジェ(AFP時事)

 大統領の退任を求める民衆デモが勃発した。その直接的な原因は、車いす生活を余儀なくされ、執政能力が明らかに欠如しているにもかかわらず、軍部や治安機関がブーテフリカ氏を続投させようとしたことに反発したことにある。

 ブーテフリカ氏は3月11日、デモ隊の要求をのんで5選出馬を撤回したものの、大統領選を2019年中に開催予定の政治・憲法改革に関する国内会議の終了後に実施すると説明した。しかし、反政府デモが収まらなかったことから、4月1日には、4月28日の任期を待たずに退任すると発表し、翌2日に辞任した。

 議会は4月9日、アブデルカデル・ベンサラ国民評議会議長を暫定大統領に選出。暫定大統領は90日間、大統領の職務を代行し、その間に大統領選挙を実施することになる。ただ、デモは続いている。過去20年間権力の座にあった軍部が、「透明で公正な選挙実施」により、権力を本当に手渡すかどうかへの不信があるからだ。

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 アルジェリアでは1989年に複数政党制が憲法で認められ、1991年12月に行われた総選挙で、イスラム根本主義のイスラム救国戦線(FIS)が8割以上の議席を獲得した。イスラム国家樹立を恐れた軍首脳らは92年1月、最高国家評議会(5人)を創設して実権を掌握、2月に非常事態を宣言してFISを非合法化した。これに反発したFISのテロとその後の内戦で、99年までに15万人以上が犠牲になったとされる。

 外相を通算16年間務め、「アルジェリア外交の顔」と称されたブーテフリカ氏が大統領選に当選したのは1999年。34年ぶりに文民政権が復活した。

 ブーテフリカ氏は、FISに対し融和策を打ち出し、FISの武装組織は2000年1月に武装解除し、内戦は終結した。04年と09年で再選、11年のアラブの春の影響で反政府デモに直面、長期政権を批判されたものの乗り越え、14年4月、4選を決めていた。

 ただ、13年には脳梗塞を患い、車いす生活を余儀なくされ、以降、公の場に出る姿は極端に少なくなる。

 同国では大きく二つの問題が課題としてあったことが分かる。第一は、国民の99%がイスラム教徒であることも関係していると思われるのだが、安易にイスラム教に解決を求める姿勢だ。政治的自由を得た途端に、イスラム主義政党を支持してしまう。民主主義が信教の自由を保証するのに対し、イスラム主義は、宗教対立と宗派対立をもたらし、悲惨な結末を生んでいく。先回のアラブの春を経験した、エジプトやリビア、イラク、シリア、イエメンなどを見れば明らかだ。

 もう一つの問題は、軍の役割の重大性だろう。新たな政体が、イスラム主義に陥らないで、民主主義を貫き得るのか、また軍が、自分たちの権利や権力、利権を守るのではなく、民主主義を信奉する勢力を正しく守る役割に徹し切れるのかが問われている。

(カイロ 鈴木眞吉)