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アフガン新政府、国民一致と民主化への一歩に


 アフガニスタン新政府が発足する。大統領選での大規模不正で遅れていた。

 長期にわたる戦乱で荒れ果てたアフガンの自立、平和、安定に向けた弾みとしたい。

 ガニ元財務相が大統領に

 最初の投票から5カ月を経て、ようやくアフガンに新大統領が誕生する。ガニ元財務相の次期大統領就任が決まり、ガニ氏と大統領選を戦ったアブドラ元外相は新設の行政長官として、アフガン再建に取り組む。

 ガニ氏は「われわれは平和と安定のために尽くす。平和が犠牲になるようなことは断じてあってはならない」と挙国一致政府樹立への決意をにじませた。選挙不正による政治空白で国民生活は大きな影響を受けたとみられ、ザヒルワル財務相は、新大統領選出の遅れによる経済損失が50億㌦以上に上ることを明らかにした。

 アフガン経済は1990年代のタリバンによる支配、米同時多発テロ後のアフガン戦争で壊滅的な被害を受け、同国政府は財源のほぼ9割を外国からの支援に頼っている。

 ガニ氏は国家の復興と平和の実現を訴えるが、タリバンのテロ攻撃は依然続いており、復興の大きな障害となっている。平和と安定が得られなければ、経済の再建、国民生活の向上も望めないのは明らかだ。

 米国は2001年のアフガン攻撃後、治安部隊の訓練と装備、道路、病院の建設などのインフラ整備に1000億㌦以上を投じてきた。国際治安支援部隊(ISAF)の主力である米兵の死者は2200人に上り、同国の平和実現へ大きな犠牲が払われてきた。

 ISAFは今年末に任務を完了し撤収する。タリバンの攻勢は強まっているが、ISAF撤収後の治安は、アフガン軍・警察が主体となって守ることになる。米国との間で行われてきた駐留米軍の地位協定についての協議は、カルザイ大統領が締結を拒否していたことから暗礁に乗り上げていたが、ガニ氏は協定受け入れを表明している。1万人程度の米兵が駐留し、治安部隊の訓練や支援を行うことになるもようだ。

 アフガンが独力で国内の安全を確保できるようになるよう、治安部隊強化が急務だ。

 国際社会が注目した今回の大統領選は国民の関心も高く、投票率は前回大統領選を大きく上回る6割近くに上ったとされている。国内では依然として、部族意識、宗派意識が強く、勢力間の対立が社会の中に根強く残っている。しかし、長期にわたる戦乱による苦難を経て、国民の間に国家意識が高まり始めているのは確かだろう。民主化に向けて、国民の政治参加を一段と促していくことが国家の繁栄には不可欠だ。

 同国多数派パシュトゥン人のガニ氏と、少数派タジク人のアブドラ氏の対立を受けて、国内の各勢力間の摩擦が強まるのではと懸念されたが、挙国一致内閣発足決定を受けて、危機はひとまず乗り越えた格好だ。

 治安、経済両面の支援を

 新政府誕生は同国の民主化推進のチャンスでもあり、国際社会は治安、経済両面での支援を今後も続けていくべきだ。

(9月26日付社説)