世界日報 Web版

アフガン自爆テロ、米軍撤収は間違っている


26日、カブール空港周辺の爆発で負傷し治療を求めて病院に着いた女性(AFP時事)

 アフガニスタンの首都カブールの空港周辺で複数の爆発があり、米兵13人、アフガン人60人以上が死亡した。過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行を認めたという。

 無辜の人たちを標的にしたテロが許されないのはもちろんだが、今回の事件の背景にはバイデン米政権がアフガン駐留米軍の撤収を強行して混乱を招いたことがある。

ISの存在誇示が狙いか

 米中央軍のマッケンジー司令官は、IS戦闘員とみられる2人が自爆テロを行ったと説明。カブール空港には、国外退避を希望する外国人やアフガン人が殺到していた。

 ISは、アフガンで実権を掌握したイスラム主義組織タリバンと敵対関係にある。存在を誇示するために自爆テロを起こしたとみていい。

 バイデン大統領は事件後の演説で「事件を起こした者を許さず、忘れない。探し出して代償を支払わせる」と述べ、報復攻撃を約束。一方で、予定通り米国民やアフガン人の退避支援と駐留米軍の撤収を続ける方針を示した。しかし月末が期限の米軍撤収が進む中、アフガンの情勢は不安定化している。

 

 アフガン情勢をめぐる先進7カ国(G7)のオンライン首脳会議では、外国人やアフガン人協力者の安全な国外退避に向け、緊密な連携を続ける方針を表明した。日本は航空自衛隊機を使って邦人を隣国パキスタンに移送した。

 ただ共同声明に、米軍の撤収期限延長への言及はなかった。タリバンの反発を警戒した可能性も否定できない。マッケンジー氏は今回の自爆テロ以外にも「空港に対する差し迫った脅威がある」と述べている。バイデン氏は安全維持のため、撤収を中止すべきだ。

 タリバンによる実権掌握後、ISによるテロが起きるとの懸念は強かった。テロを許したことで、周囲の反対を押し切り、米軍撤収を強行したバイデン氏に対する批判が強まるのは確実だ。9月11日の米同時テロ20年を前に成果を焦ったのだろうが、撤収は間違いだと言わざるを得ない。

 オースティン米国防長官は6月に上院の公聴会で、アフガンからの米軍撤収後、2年程度でアルカイダなどの国際テロ組織が復活する可能性があると警告した。国防総省や米軍は撤収に反対していたとされる。

 撤収はタリバンだけでなく、ISの勢力伸長にもつながったようだ。このままではテロの脅威が国際的に高まろう。

 米同時テロを実行したアルカイダを当時のタリバン政権はかくまった。ISは、パリで130人が死亡した同時多発テロなど多数の事件を引き起こした。日本もテロ対策の強化が求められる。

中国の接近に要警戒

 中国とタリバンとの接近も懸念材料だ。中国の王毅国務委員兼外相は、タリバンに圧力を加えるのではなく、政権移行を支援すべきだと主張した。

 世界的な反米網構築に奔走している中国がアフガンを取り込めば、パキスタンとも組んで南アジアの拠点とすることができる。十分な警戒を要する。