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タリバン 各部族に根回しか


東京国際大学名誉教授 渥美堅持

東京国際大学名誉教授 渥美堅持

東京国際大学名誉教授 渥美堅持氏

 アフガニスタンでタリバンがカブールに戻った。アフガン復興からガニ大統領まで政権は一口に言えば賄賂、汚職政権で、国家より部族の利権しかない。米軍撤退が決まった時から今回のようになることは分かっていて、逃げる手はずを整えていたのではないか。米国などの、予算を与えて政権を任せる手法は奏功しなかった。

 タリバンは1996年から2001年12月までアフガンを支配し、州の市場を握る主要部族を支配する仕組みを作っていた。今回、犠牲が少なく各州を制圧していったのを見ると、そのような仕組みが残っていて各部族と話し合いがなされたのだろう。

 イスラム教という宗教は、市場を握っている各部族から金を集めて、その金を学校教育、医療など福祉や軍事に充てる伝統があり、そのような国を造ろうというのがタリバンが考えるイスラム復興運動だ。

 米国が米軍撤退方針を変えず、なぜスムーズにタリバンの首都カブールの制圧まで許したのかだが、タリバンは反中国であり、旧ソ連に侵略されたので反ロシアだ。米国は、反中露政策に政治的道具として使えると判断し、タリバンもそれに乗ったのだろう。双方とも夢を見て接近している。

 今日イメージされるタリバンは汚い服装で銃を携えるゲリラだが、タリバンはインドで英国植民地時代に生まれた長い歴史があり、大きな組織で団結力がある。第2次世界大戦後、インド、パキスタンが分裂、独立した後に印パ戦争が起きると、パキスタンの安全保障政策は、東のインドに対するために西のアフガンを親パキスタンにする必要があった。負けた時にアフガンに逃れるためタリバンを保護した。

 タリバンはテロ集団ではない。9・11同時テロを起こしたテロ集団のアルカイダをかこったので、米国はアルカイダ=タリバンとみて対テロ戦争でアフガンを攻撃した。米軍撤退後、タリバンが現状を維持し、あまり過激なことをやると世界は困るが、そうでなければ世界はタリバンのアフガンを容認していくだろう。

(談)