世界日報 Web版

パレスチナ衝突、惨劇の繰り返しに終止符を


 イスラエルとパレスチナとの間の武力衝突が激化の一途をたどっている。

 繰り返される悲劇を止める方策はないのか。

イスラエルが徹底抗戦へ

 イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとの交戦では、すでに百数十人が死亡、数百人が負傷した。

 ガザ地区を実効支配するハマスがイスラエルに打ち込んだミサイルは2000発を超えた。射程もかつてないほど伸び、イスラエルの南部都市、産業の中心テルアビブが直撃を受け、民間人に死者が出ている。ハマスからの攻撃でイスラエル人が死亡するのはまれだ。

 一方、イスラエルは空からハマスの拠点、幹部、兵器工場などを攻撃しているが、民間人にも多数の死者が出ている。

 境界線付近の地上からの攻撃も開始しており、地上軍のガザ侵攻も近いのではないかとみられている。そうなれば、被害がさらに大きくなるのは避けられない。

 イスラエルの同盟国である米国、国連、アラブ諸国も沈静化へ仲介を試みているが、効果的な対応はできないままだ。

 イスラエルとパレスチナの間では2014年にも激しい戦闘が繰り広げられた。イスラエル軍がガザに侵攻し、多くの民間人を含む2000人以上が死亡した。

 小規模な衝突、ロケット弾による攻撃は頻繁に起き、抗議デモでパレスチナ人が死亡する例も後を絶たない。

 イスラエルのネタニヤフ首相はテルアビブを訪れ、「(攻撃に対しては)必ず代償を払わせる」と述べ、徹底抗戦の構えだ。リブリン大統領は「内戦だ」と惨状を訴えた。

 今回の衝突の直接の原因は、東エルサレムでパレスチナ人の動きをイスラエル軍が制限したことに住民が反発、小競り合いになったことだ。

 イスラム教徒の集団礼拝の日であり、イスラム教徒にとっては一年のうちで最も神聖な「ラマダン(断食月)」の最中の出来事だ。

 衝突は、エルサレム旧市街のイスラム教聖地ハラム・アッシャリフ(ユダヤ教呼称「神殿の丘」)でも発生した。それに呼応し、ガザ地区のハマスがイスラエルに対するロケット攻撃を開始した。

 1967年のイスラエルによるヨルダン川西岸、ガザ地区占領後、同じような衝突が繰り返されてきた。双方の積年の恨みは、ちょっとしたことで暴発する危険性をはらんでいる。

 94年のパレスチナ自治政府発足を受けて、イスラエル、パレスチナの「2国家共存」が模索されてきたが、相次ぐ衝突で実現は遠のくばかりだ。

 米国のトランプ前政権は2020年に中東和平案を提示したが、イスラエルに有利な和平案はパレスチナが受け入れられるものではなかった。バイデン政権は介入に消極的だ。

2国家共存で恒久和平を

 国際社会の強力な介入が必要なことは言うまでもないだろう。2国家共存をベースとした恒久的な和平に向けた真剣な取り組みがなければ、衝突の連鎖は永久に終わらない。