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米中貿易摩擦で揺れる韓国外交


韓国紙セゲイルボ

北朝鮮重視を見直し長期戦略を

 大阪G20(20カ国・地域)首脳会議が迫っている。文在寅大統領が米中首脳と会談する可能性が高い。文大統領としては世界を巻き込む米中貿易摩擦から北核問題まで、侮れない懸案に一度に向き合うことになった。

トランプ米大統領

11日、ワシントンで記者団に、金正恩氏から「温かく素晴らしい書簡」を受け取ったと語るトランプ米大統領(AFP時事)

 米政府はトランプ大統領の訪日・訪韓の課題として、北朝鮮の「最終的で完全に検証された非核化」(FFVD)、韓米同盟、韓米日協力強化を提示した。米国務省報道官は、「北朝鮮とは別の共有された課題も論議するだろう」として、韓日関係改善にも関与することを示唆した。韓日と連帯して中国を圧迫しようとするなら、韓日関係をまず解決しなければならないという認識によるものだ。

 結局、トランプ氏は今回の訪韓で北核より中国牽制(けんせい)に優先順位を置いていると見るのが合理的だ。トランプ氏が韓米首脳会談で“反ファーウェイ”戦線とインド・太平洋戦略への参加などを要求するという観測が出てくるのはそのためだ。

 一方、中国当局は最近、サムスン電子、SKハイニックスなど韓国企業関係者を呼んで、米国の対中圧迫に参加すれば深刻な結果に直面するだろうと警告した。中国外交部当局者は米中対立について、「(韓国政府が)正しい判断をしなければならない」と迫った。

 これは予告編にすぎない。習近平国家主席が韓国に向かい「我が方に立て」と露骨に促す公算が大きい。政府の悩みは深い。米中の隙間でよい対応策がないだけに、堪えるほかないだろう。

 ファーウェイ問題など米中貿易摩擦に対応する外交部の組織が近く発足するというが、実効性のある対策は期待し難い。局長級をはじめ7人程度が参加する臨時組織だが、こうした大型懸案を扱うには力不足だ。

 韓米、韓中首脳会談を通じて北核問題の突破口を開こうとする政府構想にも支障が生じる公算が大きい。文在寅政権は外交安保政策の優先順位を北朝鮮に置いた。北核問題の平和的解決と韓半島平和定着が最優先課題で、米国、中国、日本との関係もこれに合わせて扱った側面がある。

 しかし、ハノイ第2回米朝会談が決裂した後、政府の政策は壁にぶつかった。非核化交渉は行き詰まり、北の短距離ミサイル挑発で韓半島の状況はさらに悪化した。

 韓米の間に不協和音が出ることも少なくなく、韓日関係は歴代最悪、韓中関係もまだ刺々しい。政府の政策を省みる時がきたようだ。北朝鮮に重点を置く政策の方向が間違っていないか、周辺国との関係を疎(おろそ)かにしなかったか、考えてみる必要がある。

 米中の衝突は世界の覇権がかかった戦いなので、一朝一夕に終わるものではない。北核解決にも時間がかかる。南北だけで解くことができる問題でもない。

 “釜底抽薪”という言葉がある。「釜の下の薪(まき)を取り出す」という意味だ。沸騰する釜の湯を冷まそうとするなら、釜の蓋(ふた)を開けるその場しのぎの策ではなく、燃える薪を取り除く根本的な解決が必要だということだ。韓国外交にも適用される警句だ。遠くを見通す“鷹(たか)の目”が切実に必要な時だと言える。

(元載淵論説委員、6月13日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

文大統領に試練の大阪G20

 いよいよ韓国が米中の間で二進も三進も行かなくなってきた。中国との覇権争いに集中する米国は韓国に態度の明確化を迫り、対日関係もなんとかしろと迫る。中国は「わが方に付け」と露骨に要求してくる可能性がある。米中の間で股裂き状態だ。
 文在寅政権が一点に集中しているのは北朝鮮問題だ。その解決には米中の協力、日本のサポートが絶対必要となるのに、核心プレーヤーの全てからそっぽを向かれ、韓国は孤立した。

 その原因を、対北関係に拘泥するあまり周辺大国との関係を「疎(おろそ)かに」してきた文政権の外交にあるとこの記事は分析しているが、半分は正しい。だが、そもそも文政権が追求する「国の在り方」、目指す「統一コリア」像が周囲に歓迎されるものなのか否か、という視点が欠けている。

 周辺を大国に囲まれ、外交戦の主戦場となる中で、南北は分断し、思想は対立している。この中で、大国をテコとして利用しながら、自国の位置を確保しつつ、南北関係を進めるという連立方程式を解かなければならない。簡単に出てくる解はない。「釜の下の薪(まき)を取り出せ」と言っているが、その薪の火が何なのか。

 まずは大阪G20で米中両首脳とどんな顔をして会えばいいのか、日韓首脳会談はどうなるのか、大阪は文大統領にとって試練の場になる。

(岩崎 哲)