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13年前にも囁かれた北の甘言


韓国紙セゲイルボ

警戒緩めず安保に臨む姿勢を

 北朝鮮が核兵器保有を宣言すると、鄭東泳統一相(当時)が2005年6月17日、特使として平壌にすっ飛んで行って金正日国防委員長(総書記)に会った。

ボルトン氏

次期米大統領補佐官(国家安全保障担当)のボルトン元国連大使=2017年2月、メリーランド州(AFP=時事)

 鄭特使に耳打ちまでして親しみを表した金総書記が会心の1発を繰り出した。「韓半島非核化は金日成主席の遺言であるから、相変わらず有効ですよ」と。2発目のパンチが鄭特使に喰らわされた。「米国が体制安全を保障するなら、核兵器を持つ理由がない」。鄭特使と韓国メディアは金総書記の“度量の大きい”措置に大げさに騒いだものだ。

 歴史は繰り返されるのか。

 金正恩労働党委員長は平壌を訪ねた特使団に、「韓半島非核化は先代の遺言であるからまだ変わっていない」と語った。体制安全が保障されるならば核を保有する理由がないという口約束と共に。以前、鄭東泳氏にした約束とそっくりだ。「(金正恩は)率直で大胆だった」というメディアの反応までもが一緒だ。違う点を挙げれば、金正日が息子の金正恩へ、特使団の代表が鄭東泳から鄭義溶に変わっただけだ。

 南北首脳会談は今回で3度目である。2回目は鄭東泳氏が特使として訪朝して4カ月後に平壌で開かれた。当時、南側は金総書記のパンチ2発でノックアウトされた。

 北朝鮮は6カ国協議で核開発計画を完全に放棄すると合意しても、翌年には初の核実験を行った。それから6回実験を行い「核完成」を宣言するに至った。韓国が記憶しなければならない“偽り平和”の生々しい軌跡だ。

 核合意破棄では北朝鮮はすでに前科6犯の重犯だ。合意をエサに韓国と国際社会から支援の甘い汁を吸っただけ。そのような北朝鮮をどうして信じるだろうか。

 今われわれに必要な徳性は貴重な対話の機会を賢く運用しながら、戦争に備えることだ。何の準備もなしに平和だけを叫んで戦争の惨禍を体験する“無備有患”の愚を冒さないように。

 金委員長の言葉の裏の真意が後日に判明するとして、国家の安全保障をかけて賭博はできない。99回約束を守ったとしても、警戒を緩めないのが安保に臨む姿勢であるからだ。

 平和を守ることは戦争ぐらいに難しい。敵の脅威に屈しない大胆な勇気と、偽りに振り回されない知恵の目を同時に持たなければならない。その二つが今われわれにあるのか。

(裵然國(ペヨングク)論説室長、3月16日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。