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部分的海上封鎖にシフト 古川勝久氏


国連・北朝鮮制裁委元専門家パネル委員 古川勝久氏

 北朝鮮に対する制裁は、経済制裁から部分的な海上封鎖の措置に徐々にシフトしている。公海上における国連制裁違反行為取り締まりが非常に重要になっており、米国は昨年後半からこのような洋上での違法行為を監視し、その情報を公開し、関係国政府に、制裁違反に加担した企業などへの処罰などを求めていたと考えられる。だが、制裁違反した企業や船舶は、その後も活動を止めておらず、今回のような発表をしたのであろう。

古川勝久氏

 目的は二つ。一つは、制裁を徹底的に履行するという米国の強い意志の表明。もう一つは、制裁違反した企業、個人、船舶に対する取り締まり。

 合計56の企業、船舶および個人が制裁対象に指定されているが、海外の協力者で圧倒的に多いのが中国であり、中にはシンガポールやパナマの企業もある。

 ただ、これらの制裁対象企業には、今回、制裁対象に指定された船舶以外にも複数の船舶を運航、所有している企業がたくさん含まれている。制裁はこのネットワーク全体を対象にしたものではない。

 多くの企業、船舶が、北朝鮮との違法取引への関与も含めて、疑いが掛かっていた企業であり、制裁は喜ぶべき前進。だが、やはりちょっと遅過ぎたという印象は否めない。

 もう一点は、海外の協力企業、あるいは北朝鮮が入手した今回の制裁対象となった石油タンカーの中には、この1、2年の間に韓国から調達したものも含まれている。どういう経緯でそうなったのかは分からないが、韓国企業が北朝鮮に協力したという証拠はない。制裁が厳しいはずの国からも結果的にタンカーが何らかの経緯を経て、北朝鮮側に渡っている。日本の企業が運航していた船舶が、例えば北朝鮮に協力している中国の企業の手に渡っているというケースもある。そういう意味でこのネットワークの解明というのが重要になってくる。

 今回の措置をしっかりすれば、洋上での「瀬取り」などはやりにくくなると思う。ただ、それだけで全て止められと考えるのは甘いと思う。