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米韓軍事演習、北に挑発思いとどまらせよ


 米韓両国は韓半島周辺海域で北朝鮮による海上での軍事挑発に備えた合同軍事演習を5日間の日程で開始した。北朝鮮の最高指導者・金正恩朝鮮労働党委員長が核・ミサイル開発に邁進(まいしん)し、周辺国への攻撃能力を高めている中、演習は北朝鮮を牽制(けんせい)し、挑発を思いとどまらせる上で効果的だ。日米韓3カ国による連携の重要性に鑑みてもこれを支持したい。

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不可欠な米の「核の傘」

 今回の演習には、半島東側の日本海で米海軍から原子力空母「ロナルド・レーガン」を旗艦とする艦隊が参加している。米国の「核の傘」は北朝鮮による核攻撃の抑止に不可欠だ。

 韓国海軍からはイージス駆逐艦や戦闘機、哨戒機が参加し、空母の護衛や北朝鮮潜水艦への対応などの訓練が行われるという。近年、北朝鮮が開発を急いでいる潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)は秘匿性が高く、対応は急務である。

 一方、半島西側の黄海ではかねて危険性が指摘されていた海上の軍事境界線に近い韓国島嶼(とうしょ)への奇襲上陸を防ぐため、特殊部隊の訓練が実施される。宋永武(ソンヨンム)韓国国防相は国会議員への答弁で、北朝鮮が核兵器でこれら島嶼を攻撃する恐れが高いとの認識を示した。

 こうした演習に対し北朝鮮は早速、反発している。党機関紙・労働新聞は米空母を名指しで「軍事的な威嚇」だと非難。韓国軍の演習参加についても「外部勢力と結託して軍事的挑発に熱を上げている」とし、もともと北朝鮮に融和的な韓国・文在寅政権を揺さぶっている。

 北朝鮮が反発するのは言うまでもなくその抑止力が邪魔になるからだ。自分たちが武力挑発を仕掛ける際の口実として利用しようとの思惑もあるだろう。

 一つ気を付けたいのは、北朝鮮側の挑発とこれに対抗する演習などの防衛訓練が武力衝突に発展するのではないかとして漠然とした危機説が広がり、これに左右されることだ。危機説を理由に一部では「北朝鮮を刺激しまい」として軍事演習の自制を求める声もあるようだ。それでは抑止力が骨抜きにされ、逆に北朝鮮の思うツボだ。

 近年急増する北朝鮮のサイバー攻撃への備えも必要だ。韓国では昨年、北朝鮮による軍内部ネットワークへのハッキングで金委員長暗殺計画を含む米韓軍事機密が多数流出したとの指摘が与党議員によってなされた。作戦内容が相手に筒抜けでは演習の意味が半減する。

 今後、北朝鮮は国際社会の動きを視野に入れ、武力挑発を強行する恐れもある。特に来月予定されているトランプ米大統領の日本、韓国、中国などアジア5カ国歴訪は、北朝鮮には対北圧力の包囲網を築く「敵対行為」と映りかねない。これに反発した武力挑発への警戒・監視も怠れない。

日韓防衛協力も必要

 将来的には日韓両国が北朝鮮の武力挑発に対抗する防衛訓練を実施することも必要だろう。すでに日韓は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結し、環境を整え始めた。韓国側には反日感情の壁が残るが、いざという時に協力できないようなことがあってはならないはずだ。