世界日報 Web版

文大統領の“2トラック”対日外交


韓国紙セゲイルボ

「歴史」分離し、まずは良い船出

 文在寅(ムンジェイン)大統領が就任1週間後に米国、中国と共に日本へ特使を送った。両首脳が直接会ったものではないが、特使が伝えた文大統領の親書内容と、これを受けた安倍晋三首相の反応を見れば、両国の関係は改善の流れに乗ることができるようだ。

文在寅氏

11日、ソウルの韓国大統領府で安倍晋三首相と電話会談する文在寅大統領(AFP=時事)

 もちろんすべて順調ではない。まず、両国関係が悪化した主要因である一昨年の慰安婦韓日合意は互いに用心深く立場の違いだけを確認する水準で終わった。選挙中、再協議を公約していた文大統領は今回の親書で再協議を強く要求しなかったし、安倍首相は合意遵守に言及したものの、慰安婦像撤去は口にしなかったという。韓国の新政府がスタートするやいなや、韓日外交が破局を迎える状況は避けようという共感があったもようだ。

 代わりに両国首脳は北朝鮮問題に対する共同対応の重要性と首脳間対話の必要性に対して同じ考えであることを確認した。これは文大統領が慰安婦など歴史問題は着実に解決を試みるものの、他の分野全体を遮らないように分離して対応する“2トラック”戦略で対日外交に臨むとの予告だと見られる。朴槿恵(パククネ)政府の失敗例を繰り返さないというのが文大統領の考えであるようだ。

 文大統領と安倍首相が早期にそしてしばしば会おうということで共感したことは肯定的な部分だ。よく対話すれば誤解を解いて理解でき、信頼が厚くなる。

 安倍首相は特使の文喜相(ムンヒサン)元国会副議長と18日に会った時、「当選すれば北朝鮮に先に行く」「開城工業団地を再稼働する」とした文大統領の選挙中の発言に触れ、対北朝鮮政策に対して憂慮を表した。

 だが文特使が、「日本、米国と十分に協議して、北核問題を解決できるならば」「北核問題が解決される過程で」等の前提条件がある発言だったと説明し、安倍首相は、「やはり会って話をしてこそ、誤解は解ける」として、文大統領としばしば会うべきだとの考えを明らかにした。

 期待半分、憂慮半分といわなければならないだろうか。2トラック戦略で国益を守るという文在寅政府の対日外交はひとまず良い出発をしたようだ。だが、慰安婦など過去問題をいつまで横に押し退けていられるかは心配だ。

 慰安婦問題は結局タイミングの問題になるだろう。急ぎすぎて韓日関係がさらに絡まったり、逆に放置して元慰安婦が全員亡くなってしまうこともある。文大統領がよく時を判断できるよう期待する。

(ウ・サンギュ東京特派員、5月20日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。