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知事の竹島上陸、日韓関係悪化をあおる行為だ


 日韓両国が領有権を主張している島根県の竹島(韓国名・独島)に、同島を管轄下に置いているとする韓国・慶尚北道の金寛容知事が上陸した。いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる日韓合意の履行に逆行する釜山日本総領事館前の少女像設置で両国の関係が再び冷え込んでいる最中、火に油を注ぐ不適切な行為と言わざるを得ない。

国内世論向けの側面濃厚

 金知事は上陸の理由を「島をめぐり日本政府が相次いで誤った発言をしている」と説明した。警戒態勢を確認するとして現地に駐留している警備隊員を激励したことが明らかになっている。どうやら来年韓国で開催される平昌・冬季五輪の組織委員会ホームページに竹島を「ドクト(=独島)」と表記されていることについて岸田文雄外相が「スポーツの政治利用だ」と指摘し、韓国政府に適切な対応をするよう促したことへの反発のようだ。

 日本政府は竹島が日本固有の領土であるという立場からソウルと東京で韓国政府に抗議したが、当然だろう。韓国は歴史認識問題などをめぐりたびたび自分たちの立場こそが正しいと国際社会に訴えてきたが、賢明な姿勢とは言えない。

 これまでにも韓国の政治家たちは日本側の領有権主張に不服があるとして上陸を繰り返してきた。2012年には任期末の李明博大統領が、昨夏には超党派の国会議員団が強行した。いずれも国内世論向けパフォーマンスの側面が強く、日韓関係への影響には無頓着だった。

 今回の上陸も日韓関係への配慮は感じられない。韓国の政治家にとって日本に厳しい姿勢を示すことは支持率アップや票獲得につながる効果的方法として定着してしまったようだ。

 国政介入事件に伴う大統領への弾劾可決で権限を代行している黄教安首相は、状況悪化を招きかねない言動は慎むべきだと語った。日本への牽制(けんせい)もあろうが、釜山少女像設置のように理性を欠いた反日に突き進む韓国国内の感情的な動きを念頭に置いた発言だったと思われる。

 韓国中部の自治体である京畿道の議会が竹島に少女像設置へ向け募金を始めたと伝えられると韓国政府は設置反対の立場を示し、金知事もこの時は「不適切」と発言した。それがなぜ態度を一変させるかのように今度は上陸に踏み切ったのか。少女像に慎重な金知事への反対世論が関係しているのではないかとの疑いさえ抱かせる。

 北朝鮮の軍事的脅威がエスカレートする中、日韓連携は不可欠だ。最高指導者の金正恩労働党委員長は年明け早々、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射準備が最終段階に達したと明らかにした。その後、米国研究所は北朝鮮が実際にICBMを日本海に面した東部から発射する可能性があるとの見方を示している。このような時、日韓離反を促すような言動は自ら控えなければなるまい。

大統領選で反日利用も

 韓国では今年、大統領選挙が行われる。有力候補らが有権者受けする反日を再び政治利用し、その結果、本来目指すべき未来志向の日韓関係が犠牲になりはしまいか心配だ。