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慰安婦支援財団、日韓関係の進展につなげよ


 慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意に基づき元慰安婦への支援などを行う「和解・癒やし財団」が韓国で発足した。

 財団の活動目的は「慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やす事業」とされ、元慰安婦への生活支援が中心となる。日本政府は8月にも10億円を拠出する方針だ。元慰安婦は高齢化が進んでおり、支援が急がれる。

 発足会見で理事長襲撃

 日韓合意は、それまで過去最悪と言われた両国関係の改善につながった。だが、元慰安婦支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」などは強く反発している。6~7月に行われた日韓共同世論調査によると、日本では合意を「評価する」が「評価しない」を上回った一方、韓国では「評価しない」が約4割に達して「評価する」の割合よりも大きかった。

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28日、ソウルで「和解・癒やし財団」事務所の開所式に臨む韓国の尹炳世外相(左端)、財団の金兌玄理事長(右から2人目)ら(AFP=時事)

 しかし、合意は慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決を確認したものだ。岸田文雄外相は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議の開かれたラオスの首都ビエンチャンで韓国の尹炳世外相と会談し、合意を誠実かつ着実に履行していくことを確認した。韓国政府には国民の理解を得るための丁寧な説明が求められる。

 財団発足に伴う理事長の金兌玄・誠信女子大名誉教授の記者会見前には、会場に男女十数人が乱入し、演壇を一時占拠。会見後には、金理事長が男に液体を浴びせられ救急搬送されるなど波乱の出発となった。どのような理由があっても、こうした暴力は決して許されない。韓国政府は理事長や理事の安全確保にも努める必要があろう。

 合意では、ソウルの日本大使館前に挺対協が設置した少女像の撤去に向け、韓国政府が「努力する」ことがうたわれている。しかし、韓国政府や財団関係者は、財団の活動とは切り離す立場を示している。

 金理事長は「(日本の)10億円の拠出とは別問題だ。少女像と関連付けて出資されることは絶対ない」と断言。日本政府も、当面は韓国側の取り組みを見守る方針だ。

 少女像については、財団が慰安婦追悼事業の一環として記念館を建て収容する案や、市民団体がソウル市内に造成中の慰安婦追悼公園に移設する案が非公式に検討されている。しかし、挺対協は撤去に応じない構えで、解決のめどは立っていない。

 韓国の反日感情も絡んで難しいが、真の日韓友好を実現するには克服しなければならない課題だ。撤去に向け、日韓双方が知恵を絞る必要がある。

 日韓の連携は安全保障面においても極めて重要だ。北朝鮮は1月に4度目の核実験、2月に事実上の長距離弾道ミサイル発射を強行し、その後も弾道ミサイルの発射を繰り返している。5月の朝鮮労働党大会では最高指導者の金正恩氏が、北朝鮮は「責任ある核保有国」だと強調するなど強硬な姿勢を示した。

 米国との防衛協力進めよ

 米韓両国は今月、在韓米軍への地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備で合意した。これを弾みに、日米韓3カ国の防衛協力を一層進めるべきだ。