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韓国の検察が、いわゆる従軍慰安婦問題を…


 韓国の検察が、いわゆる従軍慰安婦問題を扱った学術書『帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘い』の著者、世宗大の朴裕河教授を、名誉毀損罪で在宅起訴した。元慰安婦らが昨年6月、同書によって名誉を傷つけられたとして刑事告訴していた。

 何より学術的な研究が刑事裁判の対象となることに違和感を覚える。異論があれば学問的な論争を通じて解消すべきだとする韓国のメディアもある。

 鎌倉時代から江戸時代に武家が政治の実権を握った日本とは対照的に、韓国は李氏朝鮮における文治政治の長い歴史がある。日本など問題にならないくらいの学歴社会であるのも、そういう歴史的背景があると思われる。それにもかかわらず、学問の自由がかくも軽く扱われるのは、どういうことなのだろう。

 韓国の文治主義は、時に高潔な学者や官僚を生む一方、学問があまりに政治と直結したということに思い至る。もちろん、そういう面はどの国の歴史にもあるが、韓国の場合、文治が徹底していたばかりに極端になったのではないか。

 学問の発展のためには、功利性から自由であることが求められる。政治は功利性の最たるものだ。

 日韓が歴史問題で本当の和解に至るには、歴史をまさに直視すること、たとえそれが認めたくないことであっても、お互いがその史実に謙虚にそして真摯(しんし)に向き合うことが出発点だ。その基礎がなくなるとすれば、和解への道は遠い。