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北の「核保有国」化は容認できぬ


 イラン核協議の合意を受け、北朝鮮の核開発問題が世界の耳目を再び集め始めた。しかし、北朝鮮政府の高官らは相次いで核放棄を拒否する発言をしている。そこには核保有国の地位を世界に認めさせようという思惑がにじんでおり、国際社会は結束してこれを阻む必要がある。

 「遺訓事業」の核開発

 国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランは、イランが核兵器製造を長期間にわたって自制する代わりに国際社会による経済制裁を段階的に解除してもらうことで最終合意した。国際社会の頭痛の種となってきたイラン核問題で一定の進展が見られたことは、同様に核問題の解決を迫られてきた北朝鮮に対する無言の圧力となっている。

 だが、北朝鮮は早々に態度を硬化させた。国連代表部のチャン・イルフン大使はニューヨークで記者会見した際、「われわれは核兵器の一方的な凍結や解体、放棄を議論するいかなる対話にも関心がない」と述べた。また、池在竜駐中国大使は北朝鮮がすでに「核保有国であり、保有国としての利益がある」とし、イランとの立場の違いを強調した。

 北朝鮮の核開発は独裁体制維持に不可欠なものだ。米国が「敵視政策」をやめない限り核開発を続けるという“正当性”をアピールし、周辺国を威嚇しながら外交を有利に進めるカードとして活用してきた。

 一方、核開発は何よりも金日成主席、金正日総書記から受け継いだ「遺訓事業」という位置付けだ。

 金正恩政権は「核・経済の並進路線」を掲げている。理念性が強い国柄を考えれば、経済をはじめどんなに国内事情が悪化しようと、今後も核を手放すとは考えにくい。

 北朝鮮は、過去3回の核実験や長距離弾道ミサイルの発射、さらに今年に入って自ら「成功」を宣言した潜水艦発射型の試射など、核関連技術の高度化や小型化に奔走している。そんな北朝鮮を一部では「事実上の核保有国」と容認する声すら上がる始末だ。

 国際社会が再確認しなければならないのは、北朝鮮の「核保有国」宣言を認めてはならないということだ。これを認めれば、北朝鮮は米国に対し対等な立場で核交渉を要求し、最終的には関係正常化とその見返りの経済制裁解除を取り付けようとするだろう。

 そうなれば、拉致問題を抱える日本にも北朝鮮は国交正常化を迫ってくることが予想される。被害者の「一括全員帰国」という至上目標が達成されないまま、正常化交渉が先に進展し、北朝鮮が日本に巨額の戦後補償を求めるようなことだけはあってはなるまい。

 「イラン・モデル」活用を

 北朝鮮の核放棄を目指す6カ国協議の日米韓3カ国次席代表会合がきょう東京で開かれる。2008年以降、北朝鮮の離脱で中断したままの6カ国協議自体、結果的には核開発の時間稼ぎを許した感が否めないが、「イラン・モデル」を生かせないかという模索は必要だ。もちろん「核保有国」化は認めないという意思表示も不可欠だ。

(7月31日付社説)