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セウォル号事故に見る“怪物”


韓国紙セゲイルボ

構造的問題点の解決を図れ

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21日、韓国・京畿道安山市で、ろうそくをともし、客船事故で
亡くなった生徒を追悼し、不明者の無事生還を祈る学校関係者
や父母ら(時事)

 セウォル号の悲劇は人災の側面があまりにも濃厚だ。韓国民だけが怒っているのではない。ニューヨーク・タイムズをはじめとする欧米メディアは、「われ先に脱出」した一部乗務員を異口同音に批判した。

 同紙は、「1912年のタイタニック号沈没事故以後、船長は船と運命を共にするという伝統が続いてきた」とし、今回の事故を「乗務員らの恥辱」と規定した。

 後進国型事件事故が絶えない中国のメディアまでが、「女性と子供を先に脱出させるということは“伝説”にすぎなかった」と皮肉る。なぜ大洋の“伝統”が韓国沿岸では“伝説”になってしまったのか。

 セゲイルボが20日入手した統計庁の2012年社会安全認識度調査によれば、韓国社会が全般的に安全だと感じる国民は8人中1人にすぎない。大きな心配なしに日常生活を享受するという人が非常に少ないという意味だ。戦時でもない平時の公共統計でだ。

 セウォル号事故の直接原因だけを問い詰めれば、この恥ずべき統計は永遠に訂正しにくい。こうした“怪物”を生む構造的問題点をこの際、丹念に調べ上げて解決していく必要がある。

 韓国海洋水産開発院(KMI)は2年前、国土海洋部(当時)に「沿岸旅客運送産業長期発展案研究」という報告書を提出した。今回の事故をあらかじめ予見したのではないかと思うほど核心を突いている。

 報告書によれば、旅客船の安全運航を指導・監督する韓国海運組合は旅客船事業主らには「乙」にすぎない。事業主らが費用を負担しているためだ。「甲」である事業主らに法と規定の厳守を突き付けられる立場ではないのだ。その上、組合理事長は官僚OBの天下りだ。組合の指導・監督機能が正常稼働するはずがなかった。

 KMIは別の機構新設を提案したが、何の反響もなかったという。また旅客船の老朽化対策も提案したが、やはり返事はなかった。

 怪物は空から落ちてくるのではない。専門家なら誰もが知る問題点が黙殺される利害関係のぬるま湯の中で自然に育つ。今回はセウォル号だったが、次に登場する怪物の名前が何になるかは誰も知らない。

 乗務員の責任だけを追及している段階ではない。船舶会社だけ促すことで終わってもならない。怪物を量産する構造的禍根を抜き取らなければならないのだ。大統領府から検察・警察まで、権限と責任を持つ者はみな目を大きく見開くことだ。

(4月22日付社説)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。