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【韓国紙】2022年、韓国政治の発展に期待


韓国紙セゲイルボ

大統領選挙は政策中心に

3日、ソウルの青瓦台で新年の演説を行う韓国の文在寅大統領(EPA時事)

 希望に満ちた新年(壬寅年)が明けたが、韓国政治の展望はそれほど明るくはない。2カ月後に迫った大統領選挙が非好感と政治嫌悪から抜け出せず、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で不平等と両極化の世界的な傾向がより一層悪化しつつあるためだ。

 大統領選挙は民主化後の岐路に立つ韓国政治発展の重要な変曲点になると展望されるが、新年の韓国政治がどこへ向かうべきか共に考える必要がある。

 韓国政治の最も緊急な課題は国民統合だ。これまで政界の陣営論理による反目で国民は進歩と保守に分裂した。統合を妨げていた地域主義は民主化後、理念対立に置き換わった。

 今は、より根本的な制度的代案が必要だ。大統領選挙の勝者が全てを手にする勝者独占の政治構造を壊す権力構造と選挙制度が急がれる。敗者の理念と地域にも権力を分け与える副大統領制や責任総理制、さらに内治と外交を別にする二元政府制が代案になり得る。

 二つ目の期待はポピュリズムの遮断だ。ポピュリズムの誘惑はいつも甘い。しかし欧州諸国に見られるように国家財政の深刻な破綻と社会分裂につながる危険性が大きい。政治家のずさんな公約がむやみに実行され、血税が浪費されるが、誰も監視せず責任もとらない。票獲得のためのポピュリズムは必ず審判され責任を取らせなければならない。政府と政治家は、無責任なポピュリズムが国家財政はもちろん国民統合を悪化させる国家的非難の対象なのだと肝に銘じるべきだ。

 三つ目の期待は大統領選挙を政策選挙にすることだ。現在の選挙嫌悪と不信は相手候補と家族の道徳性に対する過度なネガティブ攻勢のせいだ。今からでもネガティブ選挙を中断して政策選挙へ切り替えなければならない。政界が必要以上に人身攻撃をするほど、有権者は選挙から遠ざかり、国民の関心度と投票参加が低くなるのではないか心配だ。道徳性問題に対する最終的な判断は国民の投票選択に残しておくことが望ましい。

 政策選挙の重要な争点としては現政権になり約400兆ウォン増えた国家債務による財政健全性、高齢化時代の年金改革、新型コロナによって崩れた中小企業・自営業者への実質的な政策支援、政府の不動産政策失敗による若年世代の住居危機、不公正と極端な身びいきで挫折した青年世代のための雇用などがある。今からでも熾烈(しれつ)な政策論争が始まることを期待する。

 もう一つの期待は政治参加の活性化だ。大統領弾劾を導いたろうそく革命はその時だけの制度圏外(政治システムの外)でなされた参加形態であり、政党、住民自治、投票への参加のような長期的な制度的参加はかなり不十分なのが現実だ。

 3月の大統領選挙と6月の地方選挙は有権者の日常的な政治参加を引き出す絶好の機会だ。今年は大統領選挙を通じて韓国政治が発展することを期待したい。

(尹鍾彬(ユンジョンビン)明智大教授、1月3日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

選挙の年を迎え「政治嫌悪」

 韓国の大統領選がネガティブキャンペーンで溢(あふ)れている。個人や家族のスキャンダル暴きに明け暮れ、政策論争がほとんどない。これに嫌気して政治離れどころか、政治嫌悪が広がっているという。

 かつて韓国で選挙と言えば「地域対立」が深刻だった。主義主張よりも、候補者の出身地が問題にされ、特に慶尚道と全羅道の対立が激しかった。朴正熙大統領が政敵を倒すために意図的に持ち込んだとか、三国時代の新羅と百済の対立がベースにあるとか、果ては風水地理説が関係しているとか、諸説あったが、はっきりした根拠はなく、韓国はその頃から情報操作やフェイクニュースに踊らされやすかったのかもしれない。

 今の対立軸は理念だ。保守と左派が真っ二つに割れてぶつかっている。これこそ主義主張の戦いだから、互いに引くことを知らず、相手の殲滅(せんめつ)だけを目指す。理念は国内政策だけでなく、外交、軍事、南北関係などに如実に反映される。だから国家としての外交の一貫性などはなく、「前政権のした約束」など反故だ。

 つまり、韓国民がろうそく革命で前政権を倒したと自ら言うように、あの政変は「革命」だったということだ。根拠薄弱な情報をもとに大統領を弾劾して、任期途中で引きずり下ろすという「制度圏外」の手段で新政権を打ち立てたのだ。革命政権が前政権を否定するのは当たり前のこと。ただし、このように誕生した政権はいずれ「正統性」が問われる。そういうことを繰り返してきた韓国政治歴史なのだ。

 尹教授は四つの期待をかけているが、現状は非常に厳しい。政治への信頼を取り戻そうというのは至難の業だ。政治参加を呼び掛けても、嫌悪が勝って、国民はまともに関わろうとはしないだろう。現在候補者2人が繰り広げている選挙戦の責任は重大だ。どっちが勝っても承服しない一方の勢力を抱え、国民からは「非好感」の冷たい視線を向けられる。韓国はしばらく厳しい状態が続く。

(岩崎 哲)