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【韓国紙】国民統合色あせる政略的意図の濃い朴槿恵氏赦免


韓国紙セゲイルボ「社説」

朴槿恵前大統領=2017年10月、ソウル中央地裁で(韓国紙から)

朴槿恵前大統領=2017年10月、ソウル中央地裁で(韓国紙から)

 国政壟断(ろうだん)事件などで懲役22年の確定判決を受けて収監生活を送ってきた朴槿恵前大統領が新年の特別赦免対象に含まれ、31日に釈放される。2017年3月31日に逮捕され収監されてから4年9カ月ぶりだ。文在寅大統領は「今回の赦免が統合と和合、新しい時代の幕開けの契機になることを願う」と趣旨説明した。最近、朴前大統領の健康が悪化した点も考慮された。

 前職大統領の赦免は国民統合の次元でそれなりに意味がある。だが、今回は喜ばしさよりは苦々しさと疑問がより大きい。まず、検討していないとされていた朴氏の赦免が大統領選挙を約70日後に控えて電撃的に行われた背景が疑わしい。大統領府側は最近、「国民的な共感が形成されていない」として朴氏の赦免に否定的な立場を表明した。

 だが、大統領府の気流が突然変わったという。朴氏の赦免は、彼女を捜査して起訴した野党国民の力の尹錫悦大統領候補を困惑させ得る微妙な事案だ。崔ソウォン(改名前、崔順実)氏の弁護を担当した李ギョンジェ弁護士は直ちに「尹候補はこの事態に対して、如何(いか)なる解決策も出せる立場になく、審判の対象」だと語った。朴氏の一言が右派の分裂を呼ぶ素地も十分だ。権性東国民の力事務総長が「朴前大統領だけ赦免した意図を問い質(ただ)せば、野党側の分裂を狙った政治的策略があると判断する」と表明したこともこうした背景からだ。

 国民和合を赦免の名分としながら、李明博元大統領は除外し、その代わりに不法政治資金授受容疑で2年服役し、満期出所した韓明淑元首相を復権させたことも理解できない。与党側ではこれまで“親盧陣営のゴッドマザー”と呼ばれる韓元首相を救おうとする試みが執拗に続いていた。大法院(最高裁)で有罪が確定した韓氏の事件について「検察の捜査過程に、謀略による偽証の疑いがあった」として、法務部(法務省)・大検察庁(最高検)合同監察まで行った。韓氏復権のために朴前大統領を加えたという分析が提起されるのも無理はない。

 さらに納得できないのは、内乱扇動容疑で服役中の李石基元統合進歩党議員を政府が仮釈放したことだ。李元議員は北朝鮮の対南革命論に同調し、大韓民国の体制を転覆させるための革命組織(RO)の総責任者で、具体的な実行計画を謀議した容疑などで大法院で懲役9年と資格停止7年が確定していた。このような李元議員に対する仮釈放措置は、模範囚の社会適応を支援するという制度導入の趣旨とも合致しない。選挙を控えて支持層を結集させようとする思惑があるのではと疑われる。現政権と波長が合うという理由で反国家事犯に寛容を施すならば、法治主義の根幹が崩れるほかない。

 赦免権は憲法が保障した大統領の固有権限だ。だが、国会の同意を受けないのみならず司法府の最終決定を覆す行為なので、慎重に最小限で行使することが望ましい。大統領選挙を控えて政治的意図が介入したり、自陣営の肩を持とうとする赦免は職権乱用も同然だ。赦免権の政略的行使はもう終わらせなければならない。

(12月25日付)