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【韓国紙】波紋呼ぶ米の終戦宣言「別の観点」発言


韓国紙セゲイルボ

押せ押せ韓国政府と一線画す

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)=10月26日、ワシントン(EPA時事)

 「われわれ(韓米両国)はそれぞれの措置のための正確な順序と時期、または条件に関し、多少別の観点を持っているかもしれない」

 先月26日、「韓国政府が推進する終戦宣言」に対するサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の返答だ。これまで米国は終戦宣言についての立場を明確にしてこなかったが、ホワイトハウスが初めて韓国政府と“別の観点”がありえるとしたことで、波紋を呼んだ。

 先月、中国とロシアが国連安全保障理事会に対北朝鮮制裁緩和決議案草案を提出したことに対して、国務省スポークスマンは、「われわれは(対北朝鮮)制裁維持に専念している」とし、むしろ「すべての国連加盟国が既存の安保理決議に伴う制裁義務を充足することを促す」と事実上、中国とロシアを圧迫した。

 9月に文在寅大統領が国連総会演説で終戦宣言を提案した後、韓国政府が米国を繰り返し訪問して終戦宣言を提案し、対北制裁緩和検討を示唆したことに対する否定的な返答が帰ってきたわけだ。

 バイデン政府が終戦宣言に対し一線を画したことと対北制裁堅持の考えは一日で出てきたものではない。米国内の韓半島専門家たちも、「終戦宣言がどれくらい効果的か確実でない」(クリストファー・ヒル元米国務次官補)、「終戦宣言になれば北朝鮮は戦争が終わったので韓米合同軍事訓練と在韓米軍の必要性を問題にして、対北制裁が緩和されなければならないと主張することができる」(キャスリン・スチーブンス元駐韓米国大使)、「先に宣言を行い、宣言の通りになることを願うのは正しい順序ではない」(スコット・スナイダー米外交協会韓米政策局長)などと悲観的な展望を示している。

 何よりも北朝鮮が逆なでしている。北朝鮮の金星(キムソン)国連大使は先月27日、国連総会で駐韓国連軍司令部の即時解体を促した。終戦宣言が国連軍司令部と在韓米軍などの地位の弱体化につながり得るという憂慮が韓国と米国で同時に出ている状況で、それに冷水を浴びせたわけだ。

 北朝鮮は先月19日、対北対話再開などのため韓米日の首席代表協議を控えて、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した。米国に対する韓国政府の終戦宣言説得は、ワシントンで「間違った番地数を探している」と言われている。米仏外相が提唱し63カ国が調印した1928年の不戦条約は、第2次世界大戦によって紙切れになったとの指摘が出るほどだ。

 ワシントンのある消息筋は記者に「“コリア疲れ”という言葉が出ている」と語った。米国が受け入れ難い状況が明らかなのに、韓国が一方的に終戦宣言を押し通すことに対して、不満が出てくるという説明だ。

 文在寅政府が語る「政治的宣言」や「非核化への入り口」としての終戦宣言ではバイデン政府を動かすのは難しいようだ。

(朴永濬(パクヨンジュン)ワシントン特派員、11月8日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

終戦宣言の狙いは明らか

 休戦状態にある朝鮮戦争(韓国動乱)の終戦を宣言しようという呼び掛けを熱心に行っているのは、休戦協定の当事者ではない韓国だ。休戦協定当事者とは国連軍、朝鮮人民軍、中国人民志願軍である。当時、国連軍の指揮下にあった韓国軍は、李承晩(イスンマン)大統領の休戦への反発もあって、署名に加わらなかった。

 だが、ここに来て、当事者ではない韓国がしきりに音頭を取っているのには首をひねる。終戦を宣言すれば、米側の憂慮の通り、国連軍は解体され、在韓米軍も撤退が促されるようになる。

 さらには国連の対北制裁も緩和・解除されるようになるだろう。これでは北朝鮮が狙う状況を朝鮮半島につくってしまうことになる。そのお先棒を担いでいるのが韓国の文在寅政権ということだ。

 「南北統一は悲願」である。誰も反対しないが、時期や条件は当事者のみならず、周辺国、国際社会が納得する形で進められなければならない。できれば、世界の祝福下で実現されるべきだ。

 長年にわたって「休戦」中というのも、現在の状況から見て不自然ではあるものの、北朝鮮が「南侵赤化統一」の意思を隠さず、「戦意」が充満している状態では終戦というわけにはいかない。相手が重装備をちらつかせているのに、一方的に武装解除するのは襲ってくれと言っているようなものだ。つまり、今は時期ではないということだ。米国のみならず日本までもが反対する理由である。

 そんな状況で文政権が終戦をいうのは、北の意思を体して、南で欺瞞(ぎまん)工作を行っているようなもので、本隊を導き入れる先遣工作隊の役割を果たそうとしているようにも見える。韓国政府は終戦宣言の意義について、世界を説得できなければならない。

(岩崎 哲)