世界日報 Web版

【韓国紙】野党「国民の力」は政権交代できるのか


候補者決定後に内紛の恐れも

 野党「国民の力」大統領候補の選出が迫っている。尹錫★(ユンソンニョル)前検察総長(検事総長に相当)、洪準杓(ホンジュンピョ)議員、劉承●(ユスンミン)前議員、元喜龍(ウォンヒリョン)前済州道知事の中から大統領候補が確定すれば、来年3月の大統領選挙で「共に民主党」の李在明(イジェミョン)候補と乾坤一擲の決戦を繰り広げることになる。
 国民の力の現状を見ると、果たして政権交代できるだろうかと、多くの人々が疑問を抱く。野党らしくないということだ。

韓国の尹錫悅前検事総長6月29日、
ソウル(AFP時事)

 国民の力は、党内予備選挙の過程で失望感を抱かせた。大統領候補たちの間で飛び交う言葉は前例なく荒い。政治新人の尹氏は洪議員たちに向かって、「こうした考え方から変えなければ、党はなくなる方がいい」と言った。洪議員は、「その行儀の悪さを直さなくては、今後、政治は続けられない」とまくし立てた。

 候補者決定後の内紛の心配も膨らんでいる。尹氏は出馬宣言で公正と常識、法治を正すと言ったが、常識外れの言動が多い。「全斗煥(チョンドゥファン)大統領は軍事クーデターと5・18(光州事件)だけ除けば、政治はよくやったと言う人々が多い」との発言は波風を立てた。彼が考える政治とは何か、問わざるを得ない。非難が続くと、「独裁者の統治行為を論じたことは正しくなかった」と謝った。

 李俊錫(イジュンソク)国民の力代表は、「こんな常識を超越するとは…」と言いつつ「陣営を改編する必要がある」と語ったが、党が尹氏の言動を制御できていない。

 「大庄洞国政監査」と呼ばれた先週の国会国政監査で、李在明候補に的外れの攻撃ばかりしたことも深刻な問題だ。あれだけ準備して「決定的な一撃」を予告したのに、李氏を追い込む鋭い質問ができなかった。

 国民の力は無能なのか、無謀なのか。でなければ両方なのか。国民の力は圧倒的に優勢な政権交代の世論で選挙戦は野党に有利だと判断したようだ。実際にそうなのかは疑問である。政権交代を望む有権者が非常に多いのに、与野党大統領候補の仮想対決に関する世論調査で李候補に押されたり競合する結果が出ていることをどう説明するのか。

 現在の国民の力は政権を交代する能力も、準備も、決意も見られない。何よりも野党性を回復し、戦って勝つという切迫感で武装しなければならない。

 今こそ党が前面に出るべきだ。大統領候補が確定すれば、対立を収拾して風を起こす方策を多角的に模索することが緊急課題だ。

 文喜相(ムンヒサン)前国会議長は著書『大統領』で、世間の漠然とした期待に鼓舞されて大統領選挙戦に飛び込んで大統領になった人物は誰もいないと述べている。政権交代が切実に必要なら、国をどのように変えていくのかに関する国政哲学とロードマップを示し、組織を固めていかなければならない。これが政権交代の基本だ。

(朴完奎(パクウァンギュ)論説委員、10月26日付)

★=悦の兄の上を ●=日へんに文

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

“圧倒的有利”の勘違いに安住

11月5日、最大野党「国民の力」の大統領候補が決まる。その時点をもって戦況は与党候補の李在明京畿道知事との“一騎打ち”に雪崩れ込む。しかも、文在寅政権に倦んだ国民世論を追い風に、野党には政権交代が実現するかのような空気もある。
 ところが、候補者の顔触れを見ると、この好機を活(い)かせそうなタレントが見当たらない。保守系紙が「やる気があるのか」と喝を入れるのも無理はない。

 前国会議長の言葉は正鵠(せいこく)を射ている。「漠然とした期待に鼓舞されて大統領選に飛び込んで大統領になった人物はいない」。尹錫★氏を指した言葉だ。政党人でもなく議席すらもなかった人物が一時的な世論の高い支持率だけで大統領に当選するほど韓国政治は甘くはないはずだ。

 与党の“敵失”がこれだけありながら、しかも李在明氏にはスネに数々の傷があり、人間性にも疑問符がついているのに、これに勝ち切る候補が見当たらないというのはどういうことだ。野党はこの間何をしてきたのか。

 ただ、いくら尹氏を“特訓”しても付け焼刃になる。それは最初から諦めた方がいい。むしろ野党は「国政哲学とロードマップ」を用意するべきだとする朴論説委員の主張が正しい。

 韓国政治では保守派と左派が拮抗している。選挙結果は「51対49」になるとよく言われる。どちらがなっても政権運営は難しくなる。外交もそれに従う。米中対立の中で韓国の立ち位置が揺れているが、最近は中国の引力圏に引き寄せられる傾向が強くなっている。対日関係の好転は望むべくもない。

 せめて文在寅政治を総括して韓国の未来像を示すべきだ。追い風が吹いていると勘違いするなという保守紙の叫びは切実だ。
(岩崎 哲)

★=悦の兄の上を八に