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議論40年、関心高まる韓日トンネル


韓国紙セゲイルボ

関心高まる韓日トンネル

関心高まる韓日トンネル

 今年4月のソウル・釜山市長補欠選挙と来年の大統領選挙を契機に、韓日トンネルへの政界と学術界の関心が高まっている。社団法人韓日トンネル研究会は最近、韓日トンネルに対する40年間の研究を多様な側面から分析し集大成した「ユーラシア新時代のための韓日トンネル」を出版した。

 海底トンネルプロジェクトは1981年11月、ソウルで開かれた科学の統一に関する国際会議(ICUS)で世界平和統一家庭連合の文鮮明総裁(ムンソンミョン)が「国際ハイウェイプロジェクト」の中で提唱した。以後、韓国と日本に各々「韓日(日韓)海底トンネル研究会」(以下、研究会)が発足して関連調査と工事が進んできた。86年10月、日本では第1次調査のための斜坑工事の起工式が行われ、88年には慶尚南道・巨済島一帯でボーリング調査も進められた。

 トンネルのルートは「釜山~巨済島~対馬~壱岐島~唐津」と続く対馬横断ルートが有力で、距離としては経路の違いにより約209~231㌔㍍に達する。実際に建設されれば世界最長の海底トンネルとなる。

 韓日トンネル建設事業に対しては多様な見解が出ている。トンネルが北東アジアの「平和の道」になるのはもちろん、経済的側面などで画期的な変化をもたらす先導的な国家間SOC(社会間接資本)未来プロジェクトだとの評価だ。

 盧泰愚(ノテウ)、金泳三(キムヨンサム)、金大中(キムデジュン)、盧武鉉(ノムヒョン)の歴代大統領は韓日トンネルの重要性を強調してきたし、歴代の釜山市長も地域活性化のためのお決まりの方策としてトンネルを挙げてきた。

 申章澈(シンチャンチョル)崇実大教授は、「北東アジアが持っている地政学的特性を克服し、人的・物的交流がより自由になって距離および空間的な限界を克服することは、地域レベルで平和と繁栄を実現する先決要因だといえる」と評価した。

 相反する分析も出ている。韓日トンネル費用が概略100兆ウォン(約9兆3000億円)と推算される中、2003年に韓国交通研究院が妥当性調査を行った結果、費用便益分析で基準値の1・0より低く、事業性が落ちると判断した。

 研究会はこのような憂慮に対して正面から反論する。市場経済研究院など民間研究団体では多角的な研究の末に、ルート調整と工期短縮等によって費用を節減し、直接便益だけでなく間接便益を含めて考慮すると、経済性が十分あるとのことだ。さらに、建設が26万人の雇用を誘発効果があるとも分析した。

 研究会の徐義澤(ソウイテク)・李龍欽(イヨンフム)共同代表は、「英国とフランスも長い間、敵対的国家だったが、ドーバー海峡を海底トンネルで連結する『ユーロトンネル』を造ることで両国は国民的対立を克服し、協力関係に発展していけたし、欧州連合(EU)の統合にも寄与した」と指摘した。

 さらに、「韓日両国間のトンネルが本格推進され、西海岸と中国の山東省をつなぐ韓中トンネルが通じれば、韓・中・日は経済共同体を実現し、世界経済を導いていく中枢的な役割を担うものと期待する」と語った。

(クォン・イソン、9月14日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

「技術平準化」掲げていたが…

 実は、日本と韓国の間に海底トンネルを造り、列島と半島・大陸を連結しようという構想は故文鮮明総裁の提唱が初めてではない。既に1930年代には日本の鉄道省(当時)による「大東亜縦貫鉄道構想」が打ち出されていた。

 当時の鉄道の目的は、国内の路線も含めて、物流・旅客が主だったが、戦時になると民生利用は制限され、兵員や軍事物資の輸送が優先された。例えば信越本線は日露戦争の戦略物資輸送のために首都圏から日本海(直江津・新潟)へ抜ける物流に利用された、という具合にだ。そのため、軍事的においが強いのと日韓の対立感情を背景に、文総裁が提唱した日韓トンネル構想は感情的反発が向けられるか、無視されるかしかなかった。しかし、過去との大きな違いは、日韓トンネルが日本側から提案されたものではなく、韓国側からだったことだ。しかも、発表の場に世界100カ国以上、約800人の科学者が集った会議を選んだことに文総裁の狙いが込められていた。

 つまり文総裁が単に宗教指導者として「世界平和」を云々(うんぬん)したわけでなく、「世界技術の平準化」を第一に掲げていたことだ。これは見逃されがちだが、トンネルで鉄道・ハイウェイを連結することで、今以上に技術も知識も行き来する世界をインターネットが普及する以前から構想していたというわけである。

 海底トンネルの出口と目される韓国の釜山・慶南地域では選挙のたびに同構想が取り上げられる。もっぱら地域経済振興の次元で、もともとの構想から離れて、政治の手垢にまみれ、経済のそろばんばかりが弾かれている。文総裁の提唱から40年。同構想に改めて光を当てた記事だ。

(岩崎 哲)