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政策なく政治だけが残る韓日関係、改善へ意味ある努力を


韓国紙セゲイルボ

 文在寅政府の4年は期待が大きかっただけに失望も大きかった。中でも現在の韓日関係は凄惨(せいさん)な水準と言っても過言ではないだろう。最大の懸案である強制徴用問題と慰安婦問題に対する司法府判断で、政府が動ける余地は大きくなかったし、輸出規制問題にはGSOMIA(軍事情報包括保護協定)カードで対抗したが、これは歴史問題(強制徴用問題)に経済問題(輸出規制問題)を持ってきた日本と違わなかった。

会談前、韓国の文在寅大統領(左)と握手する安倍晋三首相(当時)

会談前、韓国の文在寅大統領(左)と握手する安倍晋三首相(当時)2019年12月24日午後、中国・四川省成都(時事)

 対立が長期化して相互理解と信頼は低くなり、悪化した国民感情は回復の兆しが見られない。それでも関係改善を促す社会各層の努力が続いてきたが、国家次元の努力はどうだったかについては疑問が残る。文在寅政権が心血を注いだ対北朝鮮政策で日本の役割はほとんどなく、地域構想の一環として推進された新北方政策、新南方政策、北東アジア平和協力プラットホームのどこにも日本の位置はほとんど見当たらなかった。韓国にとって地理的、戦略的に重要な日本の存在が過度に見過ごされたのではなかったか。

 このような中で反日を扇動する当局者の軽率な発言は敏感な韓日関係を政治化させた。政策は消えて政治だけが残った。もう文政権では関係改善は容易ではないという言葉が公然と出てくる。政権末の支持率は下降曲線を描き、1年もせず大統領選挙という局面で韓日関係改善のための推進力を発揮するのは容易でないということだ。

 日本も状況は違わない。安倍首相の残余任期を継いだ菅内閣の過渡期的性格のため、国民を説得するリーダーシップを発揮しにくいだろう。さらに新型コロナウイルス感染拡大の中、東京オリンピック開催を強行しようとして支持率が下がる中では、韓日関係改善の優先順位を上げる可能性は高くない。結局、両国の国内政治日程を考慮すれば、韓日関係の展望は明るくない。

 しかし、さらに悪化しないことだけを望みながら、残る1年をそのまま過ごすのも芸がない。次の政権に大きい負担を負わせることになる。

 慰安婦訴訟は終わっておらず、強制徴用問題の現金化はいつ起きてもおかしくない状況だ。したがって、性急な関係改善の試みやアリバイ的なイベント企画は止めなければならない。十分な説明のない突然の態度変化はかえって真意が疑われるからだ。どん底の信頼を回復できる方法、関係改善のために真心を尽くす小さいが意味ある努力を傾ける必要がある。

 専門家の声に耳を傾けて、短期・中長期の課題を設定し、固定化された対立局面から抜け出すことができる方策を用意しなければならない。「政治」でない「政策」が必要な時だ。残る1年、文在寅政権は何を残すのだろうか。そしていかなる政府として記憶されるのだろうか。

(崔恩美(チェウンミ)峨山政策研究院研究委員、5月13日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

対日関係改善は専門家に聞け

 崔恩美研究委員は早稲田大にも学んだ日本専門家である。専門は日本外交、韓日関係、東アジアの多角協力。

 記事中で「性急な関係改善の試み」とは、文在寅政権が東京五輪を“利用”して米朝、南北対話を仕掛けようとし、そのために舞台となる日本に突然いい顔をし出したことを指している。日本の都合など眼中にない。

 こうした「突然の態度変化はかえって真意が疑われる」と書いており、まったくその通りだ。ボールはいま韓国側にあり、それを投げ返さずに、別の案件をぶつけてくるのはルールというかマナー違反である。しかも、日本側からみれば文大統領が態度を豹変させた理由も透けて見え、真に関係改善を望んでいるとは到底思えないから、応じる気にもなれない。

 これだけ長期間にわたって関係が悪くなれば、改善させるにも相当の時間が必要だ。即効薬はない。丁寧に絡まった糸をほぐしていく緻密な作業が必要で、それをして、両国の国民感情もようやく解けていくというものだ。

 崔研究委員の主張は以下の言葉に集約される。「専門家の声に耳を傾けよ」だ。文左派政権は日本専門家の意見をまったく聞いてこなかった。聞くという発想自体がなかった。日本通は「土着倭寇」のレッテルを貼られ、口を封じられてきたも同然だった。

 日本を説得しようとするなら、日本人の民族性や性格、歴史、文化に精通しなければならない。半島が災難に見舞われた時は、ほとんどが日本を見誤るか見くびった時だ。「歴史に学ばない者は滅びる」と日本に説教を垂れるより、ブーメランとなって返っていくその言葉をしっかり受け止め、「どうしたら日本が心を開く」か、専門家の声に耳を傾けるべきだろう。

(岩崎 哲)