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米国“アジア系ヘイト犯罪”の要因、利己的で成功志向に反感


韓国紙セゲイルボ

 米国ではよく移民の類型を三つに分ける。まずは日本型だ。日本人は米国社会に完全に同化して自分のアイデンティティーをなくす。米国で育つ日本人2世、3世は大部分日本語を話すことができない。

アジア系住民への憎悪犯罪対策に本腰を入れる決意を示したバイデン米大統領(AFP時事)

アジア系住民への憎悪犯罪対策に本腰を入れる決意を示したバイデン米大統領(AFP時事)

 2番目は中国型だ。中国人は概して米国社会に同化せず、チャイナタウンをつくって独立的な生活をした。3番目はユダヤ人型だ。ユダヤ人は米国社会で徹底してアイデンティティーを守りながらも、米国社会に同化して主流社会を舞台として生きていく。米国内の韓国人はユダヤ系をベンチマーキングしている。

 韓国人は米国のある都市、どの地域でも文化的アイデンティティーを守って現地社会に適応しようとする。映画『ミナリ』(芹の意)はそのような韓国人の姿を描いて米国社会で好評を得た。“最も韓国的ながらも最もアメリカ的な姿を見せてくれた”というのが映画を観(み)た韓国人たちの反応だ。アトランタで韓国人4人が死亡した銃撃事件は韓国人が芹のように生きようとするが、それが絶対に容易でない現実であることを呼び覚ました。

 米国で少数人種を対象にしたヘイトクライムの加害者は明確に区分される。米刑事司法ジャーナルに掲載された最近の研究報告書によれば、黒人やヒスパニックを対象にしたヘイトクライムの加害者は大部分が白人だ。

 ところが、韓国人などアジア系を対象にしたヘイトクライム加害者は白人だけでなく黒人とヒスパニックなど、非アジア系であることが明らかになった。白人から差別されている黒人やヒスパニックが少数人種のアジア系にうっ憤晴らしをしており、アジア系は孤立無援の窮地に追い込まれている。

 黒人やヒスパニックがアジア系を嫌う理由はアジア系が米国で“成功した少数系”だとの認識が広まり、アジア系を嫉妬するためだという。韓国人を含むアジア系移民が米国で勤勉で誠実に仕事をしながら、家族のために自分を犠牲にして子供の成功のために全てを捧(ささ)げて、1・5世と2世、3世を米国の主流社会に続々と進出させているのは事実だ。

 問題はこの過程でアジア系が過度に利己的な集団だとの認識が広まっているという点だ。韓国人などアジア系が成功至上主義のイデオロギーに陥って黒人やヒスパニックなど他の移民たちの生活に気を遣わないという反感もヘイトクライムの要因として作用している。

 アトランタ事件で韓国人などアジア系の政治力伸長問題が重要な課題として登場した。アジア系が米国人口の6%ほどを占めるが、バイデン政権で閣僚級は1人も輩出できなかった。

 韓国人などアジア系はヘイトクライムに対する対応策を講じながらも、米国社会内での自画像を注意深く窺(うかが)い知る必要がある。

(鞠箕然(ククキヨン)ワシントン特派員、3月28日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

ハーバードか洗濯屋か

 米への移民は誰もが裸一貫で夢を抱いて大陸を踏むが、その中で韓国人は少し違うと言われてきた。彼らは「学歴と金」を持って来るからだ。

 そして、おそらくどの移民よりも勤勉で上昇志向が強いため、成功者が目につく。金持ちになっても、ランニングシャツにゴムサンダル姿の中国人に比べて、韓国人は大型高級車に乗り、一流テーラーの服とアクセサリーで身を飾る。だから、他の移民から妬まれることになる。1992年のロス暴動の時、一番とばっちりを食らったのが韓国人だったのは、その理由からだ。

 勉学にも力を入れる。「ハーバード大に行けなければ、洗濯屋にでもなれ」と子弟の尻を叩(たた)く。トップでなければ意味がないという価値観が反映して、一流大には韓国人の移民も留学生も多い。

 コミュニティーづくりにも特徴がある。コリアタウンができるほどまとまって住む傾向が強い。教会がその中心となる。しかもそこは牧師も信徒もみな韓国人だ。韓国語で説教し、礼拝後は韓国料理のランチが出る。

 こうした集団をみて、「後から(米に)来たのに自分たちよりも成功して、上の階層に行っている」と黒人やヒスパニックが不満を募らせるのも無理はない。ヘイトクライムのターゲットになるにはそれなりの理由があるのだ。

 だから「アジア系」と一括りにされるのには違和感がある。「最も納税率が高く、犯罪率の低い」と言われる大人しい日本人が今回はとばっちりを受けている。

(岩崎 哲)