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“衰退期”に入った韓国の日本研究


韓国紙セゲイルボ

関係改善に重要な知識人

 日本国際交流基金ソウル文化センターが発行した研究報告書「2019韓国日本学の現況と課題」によれば、現在の韓国における日本研究は“停滞期”あるいは“衰退期”に入っている。政治、経済、歴史、文学、語学など、分野を問わず研究者の高齢化と研究能力の低下が見られ、大学内の日本関連学科が統廃合されるなど、制度的な環境の変化が韓国における日本研究者再生産メカニズムの崩壊と研究力量の縮小につながっている。

日韓関係の歴史について大きな論争を引き起こした『反日種族主義』の著者の1人、私塾「李承晩学堂」の理事を務める朱益鐘氏=2019年9月28日、上田勇実撮影

日韓関係の歴史について大きな論争を引き起こした『反日種族主義』の著者の1人、私塾「李承晩学堂」の理事を務める朱益鐘氏=2019年9月28日、上田勇実撮影

 特に、新進研究者の流入減少と研究者の高齢化は多くの研究でも指摘される事項だ。政治外交分野を見ると、19年現在の国内現職の韓国人日本研究者のうち30代は5%、以下、40代22・6%、50代53・8%、60代18・6%で、男性が74・4%を占める。現在の50、60代がここ20~30年の日本研究を引っ張ってきたが、彼らが引退する今後の20~30年が心配になる。

 さらに憂慮されるのは、韓日関係発展のために正しい理解を提供できる窓口が減ることだ。これに敏感な韓日関係に言及しにくい否定的な社会的雰囲気も影響を及ぼす。いわゆる“土着倭寇”のような政治的表現は誤った認識を植えつけ、政策決定者の身動きの幅を狭め、社会的烙印を恐れる知識人は沈黙してしまう。

 このような状況の中で、国内知日派が韓日関係に対して物申すことは相当な勇気が必要となり、両国の対立が長期化することにより、深刻な事態の中でようやく成り立ってきた議論が陳腐に感じられるまでになった。

 このような状況は日本も大きく変わらない。日本内の韓国研究者の減少だけでなく、否定的な世論の中、韓国の立場を理解する日本国内の知韓派の立場が狭まり、刺激的で偏向したニュースが注目され、否定的な世論が拡大再生産されている。

 韓日間の対話が減っていることも憂慮される。韓日が新しい時代を共に拓こうと広範に実施してきた韓日共同の民官協力長期プロジェクトは既に消えて久しく、韓日政策ネットワークはやっと存在している有様だ。

 結局、相手国研究の量的・質的減少と社会的な環境および条件の悪化、関係改善のための構造および制度的努力が伴わず、お互いへの理解が不足することになり、韓日対立の解消と関係改善の希望が見えない悪循環が繰り返されているのだ。

 それではこれからどうするべきか。手遅れになる前に韓日関係を管理して、緩衝的な役割を果たせるメカニズムを構築しなければならない。一回性・イベント性の行事でなく、より長期的観点で韓国と日本の多様な声を取り込める対話と疎通のプラットホームを用意していかなければならない。

 そして、国際環境と社会的な変化の中で、韓日関係の重要性と必要性を再考しなければならない。この過程で、知識人の役割と勇気が改めて重要になっている。

(崔恩美(チェウンミ)峨山政策研究院研究委員、3月5日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

「非韓三原則」でも関心はある日本

 日本では「非韓三原則」という言葉が政治家の口からも飛び出している。韓国に対して日本は「教えず、助けず、関わらず」というものだ。

 そもそもこの言葉は筑波大学大学院の古田博司教授が言い出したもので、古田教授と言えば、代表的な知韓派学者だった。朝鮮研究では福沢諭吉以来の慶応大出身で、韓国留学し、向こうで教壇(日本語講師)にも立った。

 日本の朝鮮研究者がたどる道の一つに「知れば知るほど嫌になる」というのがあり、古田氏もその道を行き(本人に異論があるかもしれないが)、いまでは韓国にしてみれば最も手ごわい韓国研究者だ。学者にしろ、ジャーナリストにしろ、慶応大出身者ではじめは韓国に理解を示しつつ、後に厳しい目線になっていった人が多いのは、「謝絶する」と言った福沢諭吉の後をトレースしたようで興味深い。

 別に慶応大出身者だけではない。朝日新聞主筆だった若宮啓文氏も似たような経路をたどったのではないか。2011年に韓国が唐突に「慰安婦問題を解決せよ」と迫った辺りから「嫌になってきた」とあるセミナーで吐露していたのが印象的だ。所属するメディアの立場上、韓国の無理筋主張にもある程度理解を示していた同氏が“かばいきれない”と匙(さじ)を投げそうになるほどだったのだ。日本メディアの韓国への視線が変わったとすれば、この前後である。

 ただ、面白いのは「嫌だ嫌だ」と言いながら、相変わらずウォッチを続けている。縁を切る人はまずいないということだ。朝鮮半島問題はそれ自体が興味をそそる対象であり、韓国人との個人的付き合いで嫌なことはめったにない。韓国ではいざ知らず、日本で朝鮮研究者がいなくなることはない。

(岩崎 哲)