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真実性問われる正義連と尹美香氏


韓国紙セゲイルボ

寄付文化への後遺症、長く深刻に

 毎月、小さな金額だがさまざまな団体に寄付をしている。障害者の権益と貧民など社会的弱者の健康権、消費者のために活動する市民団体と国内外の欠食児童を支援する救護団体などだ。

元慰安婦、李容洙さん

25日、韓国南東部の大邱市で記者会見する元慰安婦、李容洙さん(EPA時事)

 周辺を見回しても、市民社会団体に寄付をする人が少なくない。自分に代わって社会的に意味あることに取り組む団体と活動家を信頼し、わずかな誠意を寄付する。彼らが団体設立の趣旨に沿って、より安定的にきちんと仕事が出来るようにするためだ。政府が国民の血税でいくらか支援するのも同じ脈絡だ。

 もちろん、ここには寄付金と政府補助金が透明で詳細に管理され事業目的に合うように使われるという信頼が前提となる。当然の常識だ。正義記憶連帯(正義連)と同団体を導いた共に民主党の尹美香当選者(比例代表)をめぐる論議に憤る市民が多いのはそのためだ。

 正義連は政府も無視していた日本軍慰安婦被害者の苦痛と戦時性暴行犯罪の深刻さなどを国内外に知らせながら永らく孤軍奮闘してきた。これを知った国民の大多数は正義連の労苦に敬意と拍手を送り、彼らの活動を全面的に支持した。自ずと慰安婦被害者のために使ってほしいという政府支援金と寄付金の規模も大きくなった。

 ところが他の誰でもなく正義連と共に闘ってきた慰安婦被害者本人が、「これ以上我慢できない」と、会計不正疑惑をぶちまけた。同団体に寄付した人をはじめとして国民の相当数が呆気にとられたはずだ。

 さらに呆(あき)れたのは正義連と尹氏、民主党など与党の態度だ。相次いで起こる疑惑に対する“潔白主張”を立証する根拠は出さずに、突然「親日・反人権勢力の不当な攻撃だ」と責め立てた。

 尹氏は国を二分した“曺国事態”を再演し、民主党の国会議員当選者16人は何の検証もせずに“尹美香守護”声明を出した。常識的な国民には本当に無礼な態度だ。慰安婦被害者の人権運動と関連した正義連と尹氏の大きな成果とは別に、運動の真実性が疑われる問題が起こり、どういうわけか聞いているのに、とんでもない反応(反論)ばかりが返ってくるためだ。

 結局、今回の事態は捜査と裁判の過程でさまざまな疑惑の真偽が明らかになるだろうが、後遺症は深刻で長く続くだろう。寄付に対する信頼基盤を揺さぶり、元々脆弱な寄付文化にも打撃を与えないか心配になる。それこそが重大な事態だ。

 だが、正義連と尹氏、与党は理念・陣営・親日フレームで本質をぼやかせて責任を免れようと懸命になっている印象だ。これ以上、思い違いをしないでほしいものだが。

(イ・ガンウン社会2部記者、5月23日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

運動の背景を暴く契機に

 いま韓国社会は「元慰安婦」を支援し「日本の非道を追求する人権運動」を推進していたとばかり思っていた運動が、実はとんでもないペテンだった可能性があることを知って茫然自失している。感情をストレートに表す韓国民は自分の善意が踏みにじられ、裏切られたと知った時、憤りを怒りや行動に変えていくだろう。

 韓国では人間関係を上下で捉えることもあって、富裕層に対する妬(ねた)みや敵愾心(てきがいしん)が強い。尹美香氏が支援金を私利私欲のために使い、国会議員の地位まで手に入れたとすれば、彼女に向かう怒りは相当なものになるだろう。「元慰安婦」李容洙さんが30年来の同志を告発したのも尹氏が議員に当選したことが切っ掛けだ。

 これに対して、尹氏や与党は追及する側を「親日」だとして片付けようとしている。レッテル張りで煙幕を張り問題の核心をぼやかそうとする左派の常套手段だ。彼らこそ「パルゲンイ(赤)」と呼ばれたことを「積弊」として批判しながら、同じ手口を使うのをみれば、左右を問わずこの民族の体質なのかもしれない。

 女性同士の嫉妬心に端を発したとはいえ、国際問題にまで発展している内容なので、人権団体の不正経理程度で終わらせず、運動の背後に何があったのか、それをしっかり韓国民と世界に暴き出してほしいものだ。韓国ジャーナリズムの本領を見せてもらいたい。

(岩崎 哲)