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韓国・文政権 保守系メディアに圧力


TV朝鮮に無理な更新条件

 韓国の保守系ケーブルテレビ局が最近、文在寅大統領の直属機関や知人検察幹部から相次ぎ嫌がらせとも言える圧力を受けている。政権に辛口なメディアの口封じが狙いとみられ、「言論の自由への侵害だ」と反発する声が上がっている。
(ソウル・上田勇実)

チャンネルAには家宅捜索
左傾化放送局は「政権応援団」

 発行部数最多の保守紙・朝鮮日報の系列ケーブルテレビ局、TV朝鮮は先月、大統領直属の放送通信委員会から事業の再更新が認められたが、11項目にも及ぶ条件が課せられ上、本来は4年間の認可期間を3年に短縮された。

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TV朝鮮で放映された夜9時のニュース番組

 文政権発足後、地上波の3大キー局は経営トップが任期途中で相次ぎ交代させられ、政権寄りになったと言われる。ニュース専門のケーブルテレビ局もリベラル色が濃い中、文政権の行き過ぎた保守派叩きや親北・親中・反日路線の弊害などについて忌憚(きたん)なく物を言ってきたのがTV朝鮮だった。

 同委が提示した11項目の条件のうち特に目を引くのは「出演者は同委から1回でも法定制裁(警告)を受けたら出演禁止」と「時事番組は3回法定制裁を受けたら廃止」の2項目だ。出演者には記者、時事番組にはニュースもそれぞれ含まれるといい、時事問題における政権批判を封じ込める思惑があるとみられる。

 同委は約1年前、全放送事業者に対し「総合評価点が1000点満点中650点に届かない場合、再承認期間4年を3年にする」と通告してきた。TV朝鮮は今回の評価で650点をわずかながら上回ったため、本来なら4年の再承認が保障されるはずだが、主観的評価の項目で落第したとの理由から3年に短縮されてしまったという。

 さらに同委は3年後の更新審査時にTV朝鮮が今回と評価点が同じだった場合、「更新を拒否できる」ようにさせるなど、同委の次期任期中の審査にまで口を挟む越権行為に及んだ。どうあってもTV朝鮮をつぶしたいとみえる。

 こうした圧力にTV朝鮮の記者協会は声明で「メディアの公正性を政権が判断し、メディアに極端な制裁を科すのは民主主義国家ではあり得ない」として猛反発している。

 TV朝鮮と同様に政権批判を展開している保守紙・東亜日報系列のケーブルテレビ局チャンネルAも文政権による保守系メディア叩きのターゲットにされているようだ。

 事の発端は今年3月末のMBCによる単独報道。チャンネルAの記者が金融詐欺事件で服役中の元会社社長に接近し、与党・共に民主党に近い元閣僚をめぐる不正情報を提供するよう迫った際、その記者は政権周辺の不正疑惑事件の捜査を指揮する尹錫烈検事総長の側近と懇意であることをほのめかした、というものだった。MBCはこれをメディアと検察の癒着から生まれた取材倫理違反と主張した。

 その後、この記者は元社長に情報提供を求めたことを認めたが、検察が記者に会っていた事実は確認されず、癒着はなく記者の一人相撲だった可能性が高まった。

 ところが先月末、文大統領の大学の後輩に当たる検察幹部が中心となってチャンネルAに対する家宅捜索が行われた一方、MBCに情報提供した人物が詐欺の前科者であるなど報道の信憑(しんぴょう)性に問題があるにもかかわらず、MBCへの家宅捜索は事実上見送られた。政権寄りか否かで司法処理が変わったのではないかとの疑惑が浮上している。

 韓国では歴代政権により言論弾圧が繰り返されたが、文政権でも同じ。特に放送局では左傾化が進み、「公共放送をはじめ大半のメディアは政権の応援団役に甘んじ、権力ではなく権力を批判するメディアを批判している」(韓国大手紙)のが現状だ。

 先月の総選挙で与党が圧勝し、メディアを手懐(なず)けようという欲望に歯止めが掛からなくなっている恐れがある。