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魅力ないと言われた2人


韓国人は盧武鉉型を好む

 韓国では文在寅大統領が11月10日、任期の折り返し点を過ぎて、早くも次期大統領候補の話題がメディアで取り上げられるようになっている。5年単任制の宿命と、権力の在り処に敏感な韓国人の性格から、もう次に目移りしているわけで、文大統領のレイムダック化は意外と早期に来るかもしれない。

 月刊朝鮮(11月号)に韓国人の好む大統領像を教える記事が載っていた。「『大勢論』には感動がない」だ。

 現状では各党とも次期大統領候補選びはスタートしていないが、下馬評は早くから出ている。与党共に民主党では李(イ)洛淵(ナギョン)国務総理、野党では自由韓国党の黄(ファン)教安(ギョアン)代表がそれで、同誌は「ひとまず大勢論に乗っているようだ」としている。大方の見るところ、この2人だろうと誰もが思っているということだ。

 だが、2002年大統領選では与党の李(イ)仁済(インジェ)氏、野党の李(イ)会昌(フェチャン)氏の戦いとみられていたものが、「突然登場した盧(ノ)武鉉(ムヒョン)旋風」にやられてしまった。李会昌、李仁済両氏とも経歴は申し分なく、政治経験豊富なエリートだった。それが学歴、学閥のない人権弁護士だった盧武鉉氏が突如登場して、与党内で李仁済氏を蹴落とし、大統領選では最高裁判事まで務めた李会昌氏を抜き去ったのだ。

 同誌は、両李氏の敗因について、「感動が立ち込めている明確なドラマを作ることができなかった。大勢論に乗って、そのような必要性を感じられなかった」からだと分析する。韓国では「感動」が大統領選に必要なのだ。「盧武鉉はどうだったか。無謀なほど『地面にヘディング』してきた彼の屈曲した人生は演出不能な最高のドラマだった」と同誌は言う。

 同じことは朴槿恵氏にも言えるという。「大統領の娘」というよりも、政治テロで両親を失い、一生独身を通した「彼女の人生全体がドラマだった」から大統領の椅子を掴(つか)んだのだと指摘する。

 「有権者は現実に安住する政治家を喜ばない。盧武鉉のように絶えず挑戦して応戦して、感動を作ることを望む」

 それからすれば、大勢論に乗って無難な戦いをし、ドラマも感動もない李洛淵、黄教安両氏は韓国民にとってすこぶる物足りない人物ということになる。黄氏は曺国法相就任に抗議して丸坊主になったが、中途半端なパフォーマンスに終わったし、李総理はせっかく訪日したのに膠着(こうちゃく)した日韓関係を打開するような交渉は行えなかった。

 つまらない男の烙印(らくいん)を押された2人に「感動のドラマ」を作り出すのは難しいだろう。

 編集委員 岩崎 哲