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イタリアのコンテ首相が辞意表明


総選挙の前倒しも視野に

 イタリアからの報道によると、同国のコンテ閣僚評議会議長(首相)は20日午後、イタリア上院議会で辞意を表明し、辞任演説で副首相兼内相のサルビーニ氏を厳しく批判した。批判を受け、サルビーニ氏は「誰がよい仕事をし、誰がだめだったのか、イタリア国民だけが審判できる」と反論し、早期の総選挙実施を呼び掛けた。

コンテ首相

20日、イタリア上院で演説するコンテ首相(AFP時事)

 サルビーニ氏が率いる極右「同盟」と左派ポピュリスト政党「五つ星運動」の14カ月にわたる波乱に富んだ連立政権は幕を降ろした。昨年3月の総選挙にて「五つ星運動」が大勝したものの、多数派を形成するには至らず、同盟との連立の妥協の中、政治経験のない法学者のコンテ首相を担ぎだし、昨年6月にようやく新連立政権はスタートした。

 この14カ月間、全権を握ろうとするサルビーニ氏に悩まされてきたコンテ首相は辞意表明の演説で、副首相兼内相でありながら、市民に反政府デモを呼び掛けたサルビーニ氏に「強い懸念を抱いている」と述べ「われわれには全権を持つ人物は必要なく、必要なのは制度的文化を持つ責任感のある人物だ」「(サルビーニ氏には)憲法を守る素質が欠如していることが暴露された」と痛烈に批判した。

 一方、サルビーニ氏は議会で総選挙の前倒しを主張し「国民から信任を受けることに恐れはない」と強力な支持基盤を持つことを強調した。今後のイタリア政治の行方は、コンテ首相の辞表を受理するマッタレッラ伊大統領の手に委ねられる。金融市場の混乱による国外からの圧力を最小限にとどめるために、10月15日の欧州連合(EU)への20年の予算案提出期限を念頭に早急に新体制を整える必要がある。

 まず、コンテ首相が3日以内に新内閣を発足できなければ、他の人物に政権発足を委ねることになり、それが困難な場合は大統領が政治家ではない専門家を招集し、暫定政権をつくる可能性も残されている。それも困難な場合、総選挙の前倒しという選択肢もあるが、野党は拒否の構えだ。

 サルビーニ氏は「同盟」が現在、36~38%の支持を得ていることから、総選挙で40%を超える得票があれば、絶対多数を形成し、単独政権を発足させることもできるとして早期の総選挙を望んでいる。

 20日の上院前では、反サルビーニ派とサルビーニ支持派が終結し、互いに非難合戦が1日中続いた。なお、コンテ首相は、24日からフランスで始まる主要7カ国(G7)首脳会議には出席する見通しだ。

(パリ 安倍雅信)