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欧州委員長に独国防相選出


初の女性、11月に就任

 欧州連合(EU)欧州議会は16日、仏ストラスブールで本会議を開き、10月で任期を終えるユンケル欧州委員長の後任に、ドイツのウルズラ・フォンデアライエン国防相(60)を充てる人事案を賛成多数で承認した。初の女性委員長として11月に就任する。

フォンデアライエン国防相

欧州連合(EU)の次期欧州委員長に選出されたドイツのフォンデアライエン国防相=16日、フランス北東部ストラスブール(AFP時事)

 議会承認には議会(定数751)の一部欠員を除いた過半数である374票が必要だったが、賛成は383と小差での承認となった。自身が所属する議会最大会派の中道右派や、中道リベラル会派の支持のほか、賛否が分かれていた中道左派、さらにはEU懐疑派の一部も賛成した模様だ。

 投票24時間前には過半数を得られるか微妙な情勢だったが、15日にフォンデアライエン氏が、独国防相を退任することや、承認されない場合でも、欧州委員になることへの意欲を表明するなど、欧州への貢献に強い意思を表明、支持獲得につながったみられている。ただ、安定を得られる最低ラインとされた400に票が届かなかったことから、就任後の求心力に疑問の声も聞かれる。

 新委員長の課題は多く、就任時に英国の離脱が確定しているかは不明で、すでにEU首脳の中には、合意なき離脱を回避するため、さらなる離脱延期を容認する意見も出ている。対外的には米国との通商協議や、イランの核合意のためのEU関係国の結束が求められており、10月までに解決が困難な場合、新委員長が課題を引き継ぐことになる。拡大する中国の経済進出への対応も難しい問題だ。

 内政では、勢力を伸ばしたEU懐疑派が欧州委員会の改革を求めている他、移民・難民問題や、ユーロ加盟国の財政赤字の基準違反に対してドイツが主張していた厳しい緊縮財政と景気回復策の再検討、英国離脱後の結束強化など課題は山積している。

 近年のEU改革で、欧州委員会に対する欧州議会の権限が強化されているものの、欧州委員長はEUの執行機関トップとして、各国から選出された専門委員らと共に法案提出と政策遂行に責任を持つことになる。フォンデアライエン氏は承認後に議会で「議会とともに、団結した強い欧州を目指したい」と語り、議会の意向を尊重することを約束した。

 委員長選出まで紆余(うよ)曲折があったのは、今月初めの欧州首脳会議で、5月末の欧州議会選で多数派となった最大会派から委員長候補を選ぶ慣例が頓挫し、どの会派の候補にも挙がっていなかったフォンデアライエン氏を選任したことにあった。最終承認権を持つ欧州議会内には反発もあり、かろうじて過半数を得られたかたちだ。

 ドイツ出身者の委員長としては、EUの前身の欧州経済共同体(EEC)初代委員長のハルシュタイン氏(1958~67年)以来2人目となる。また、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が欧州中央銀行(ECB)総裁に選出されたことで、EUの主要ポスト二つが女性で占められることになる。

(パリ 安倍雅信)