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リビアから不法入国、新たな手口に伊仏懸念


 欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)によると、北アフリカのリビアなどからの不法移民密航船を監視する中、先週、イタリア沿岸で偵察機が不審な漁船をとらえ、追跡した結果、イタリア沖で移民たちが漁船から小型船に乗り移る様子が撮影された。漁船はリビアに引き返したが、新たな密入国斡旋業者の手口と見られ、警戒を強めている。

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FRONTEXが公表した不法移民が受け入れ船(左)に乗り移った現場

 数年前より、北アフリカ・リビア沿岸から多数の難民や不法移民を乗せた船がイタリア沿岸をめざす現象が続き、海上で多くの犠牲者を出している。リビア沿岸の偵察強化などで一見沈静化しているように見られていた。欧州連合(EU)は、EUの地中海沿岸だけでなく、リビアやモロッコなどアフリカ・マグレブ諸国側での監視を強化し、密入国斡旋業者の取り締まりも強化してきた。

 ところが洋上で老朽化した古船などが沈没し、溺死する難民・移民の死者数は今年に入り、過去最高を記録し、改めて、あの手この手で難民をヨーロッパに送り込む密入国斡旋業者が活動していることが問題視されている。

 今回、空から捉えられた映像では、密入国斡旋業者は、新たな手口としてリビアの小型・中型漁船の船底に移民たちを隠し、イタリア沿岸で手配された受け入れ船に乗り移る手法が取られるようになったと見られている。人道支援団体の船の入港が、イタリアの与党ナショナリスト政党「同盟」を率いるサルヴィーニ内相によって拒否されて以来、新たな手口が模索されていると見られている。

 仏内務省は、不法移民に紛れ込んでテロリストが入国することを懸念している。リビアの政治的混乱に乗じ、シリアやイラクを抜け出したイスラム過激派組織、イスラム国(IS)の戦闘員が、リビアに多く潜伏しており、特に仏国籍者が、不法移民に紛れるケースもあり、当局は警戒を強めている。

 EUでは、シェンゲン協定加盟国内での移動が自由なため、域外から入ってくる危険人物をチェックしており、加盟国内で情報共有している。これまでもギリシャルートで難民に紛れ、2015年11月のパリの同時多発テロの主犯格の男が、シリアとベルギーやフランスを出入りしていたことが明らかになっている。

 今後、漁船を利用した密入国が増える可能性もあり、FRONTEXは警戒を強めている。

(パリ 安倍雅信)