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バルフォア宣言100年、誇れぬパレスチナの現状


 パレスチナにユダヤ人国家を建設することを支持した英国の「バルフォア宣言」から2日で100年を迎えた。英国のメイ首相は「誇りと敬意を持って宣言100周年を記念する」と述べたが、この宣言が契機となってイスラエルが建国され、今も続くパレスチナ問題を引き起こしたことを考えると、単純に誇れるものではない。

自治政府議長が英国批判

 イスラエルの建国で自分たちの住んでいた土地を追われることになったパレスチナ人は、バルフォア宣言を「深刻な不公正」(アッバス・パレスチナ自治政府議長)と見なす。同議長は国連総会の演説で「歴史上の不公正を正すいかなる行動も起こさず、パレスチナ人への謝罪も補償もない」と英国を批判した。

 ロンドンではメイ首相とイスラエルのネタニヤフ首相が記念の夕食会を開いた。一方、エルサレムでは女学生たちがパレスチナ人の苦悩などを書いた手紙を英総領事館に届けた。

 バルフォア宣言は第1次大戦末期、バルフォア英外相がシオニズム運動の代表、ロスチャイルド卿に送った書簡で「英国は、パレスチナにおけるユダヤ人の民族ホームの樹立に賛同して、目的達成のために最善の努力を払う」と述べたものだ。パレスチナでのオスマントルコとの戦いを有利に進めるため、ユダヤ人の支援を得るのが狙いだった。

 一方で英国は、同じ理由からアラブ人の独立を認めるフセイン=マクマホン協定を結び、サイクス=ピコ協定では戦後のフランスとの分割支配を密約している。英国の三枚舌外交と揶揄(やゆ)される所以(ゆえん)だ。

 パレスチナ側は英国に「謝罪と補償」を求めているが、メイ首相は「絶対に(謝罪は)ない」と拒否。だがパレスチナ問題やバルフォア宣言に関しては、英国内でも見解が分かれている。最大野党・労働党の「影の外相」ソーンベリー議員は宣言100年を祝うこと自体反対だ。「英政府はパレスチナ国家を適切な時期に認めると言ってきた。今がその時に思える」と主張している。

 パレスチナ問題について英政府は「2国家共存」を支持しているが、他の欧州主要国や米国同様、パレスチナ国家を承認していない。日本も国家承認はしていないが、パレスチナ自治政府を「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げする国連総会決議に賛成した。英国は格上げにも賛成していない。

英は和平へ積極的役割を

 宣言の最終評価を下すことができるのは後の歴史家だけだというのが、英外務省の見解であり、それは一理ある。しかし歴史的経緯や国際的な影響力を考えれば、英政府はパレスチナ和平に対する責任を自覚し、もっと積極的な役割を果たすべきである。

 メイ首相はネタニヤフ首相との会見で、中東和平プロセスが停滞し、特に東エルサレムやヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地の建設に「重大な懸念」を表明した。だが懸念の表明くらいでは十分とは言えない。自国の利益のみを中心に中東外交を展開するのであれば、英国は帝国主義時代と変わっていないと批判されかねない。