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パリ同時テロ、国際社会はテロ根絶へ連携を


 パリの市内と近郊で起きた同時多発テロで約130人が死亡した。言語道断の卑劣なテロであり、こうした非道な殺人行為を断じて許すことはできない。

 私たちは犠牲者への深い哀悼の念を表するとともに、国際社会と連携し、犯行に関わったテロ組織の摘発ならびにテロの根絶へ結集して対応しなければならない。

文明社会への挑戦だ

 劇場、レストラン、競技場などで週末の夜を楽しんでいた女性、子供を含む無辜(むこ)の一般市民多数が犠牲となった。特にパリ中心部のバタクラン劇場では、数人の犯人が自動小銃を乱射し、市民を無差別に殺戮(さつりく)した。犯人たちの大義名分が何であれ、あまりにも残虐だ。

 オランド仏大統領は全土に非常事態を宣言した。オバマ米大統領は「全人類への攻撃だ」と指摘し「フランスとともにテロに立ち向かう」と表明。安倍晋三首相はテロの未然防止に向けて国際社会との緊密な連帯の決意を示した。

 市民社会をパニックに陥れることを狙い、人々の間に亀裂をつくるために行われたものである以上、文明社会への真っ向からの挑戦だと言えよう。その点で、今回のテロはフランスだけの問題ではない。

 いつ日本がテロの標的となるか分からない。国際テロリストたちの実態解明やテロをどう封じ込めるかなどについて、日本を含めた自由世界は連帯を強化して対応すべきである。今回のテロを対岸の火事視してはならない。

 事件の詳細の解明はこれからだが、オランド大統領は過激派組織「イスラム国(IS)」の「戦争行為」だと断定した。ISも犯行声明を出しており、ISの仕業である可能性が高い。

 フランスはシリアで米国主導の有志連合によるISへの空爆に参加している。今回のテロはこれに対する報復ではないかとみられる。

 空爆によってISはシリアやイラクでの支配地域を縮小させた。このため、国際テロに軸足を置く動きを強めていることが背景にある。

 パリでは1月、風刺週刊紙シャルリエブド本社がイスラム過激派に襲撃された。今月末からは国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が開催される。仏当局は警戒を強めなければならない。

 折から主要20カ国・地域(G20)首脳会議がトルコ南西部アンタルヤで開かれ、テロ対策が主要議題に浮上。テロ組織を支える資金根絶に向けた資産凍結の重要性などが提起された。

 トルコの首都アンカラでは先月、100人以上が死亡する連続テロが起きた。また、G20のメンバーであるロシアの旅客機が先月末、エジプトのシナイ半島に墜落したこともテロの疑いが濃厚になっている。

情報収集力を強化せよ

 テロ対策として最も重要なのは、各国との情報交換を密にするとともに自国の情報収集力を強化することだ。

 その点、今回のテロは西側の情報機関が事前に把握できなかったなどの課題を突き付けた。早急に対策を講じなければならない。

(11月17日付社説)