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対露国際枠組み、クリミア返還の要求続けよ


 ウクライナ南部クリミア半島がロシアの武力介入と住民工作によって併合されてから7年以上が過ぎた。

 ウクライナ政府はクリミア半島の返還を求める国際枠組み「クリミア・プラットフォーム」を立ち上げて初の首脳会議を開催した。「力による現状変更」を阻止する国際秩序を強固にしなければならない。

 40カ国以上の代表が参加

 

 ウクライナのゼレンスキー大統領が「クリミア・プラットフォーム」設立のイニシアチブを取り、これまでロシアのクリミア併合を非難してきた先進7カ国(G7)は外相声明で、国際社会の取り組みを強化するものとして歓迎を表明していた。

 クリミア問題を風化させてはならない。ロシアが主要8カ国(G8)から外され、国際協調の時代が大きく歪(ゆが)められた。

 ロシアは欧米諸国から経済制裁を科されながらも、中国をはじめとする友好国との外交関係を中心にクリミア併合を既成事実化させていく持久戦の構えだ。2014年にウクライナの親露政権が崩壊すると軍事介入し、ロシア系住民が多いクリミア共和国でウクライナ憲法を無視した住民投票で「民意」を経た形を作って併合を正当化しているが、主権侵害は明らかだ。

 「力による現状変更」は事実上の戦争に他ならない。東西冷戦終結と旧ソ連からロシアへの体制移行後、東方拡大を続けた北大西洋条約機構(NATO)はロシアによるクリミア併合をハイブリッド戦争と表現。一方でロシアのプーチン大統領は併合に際し、NATO軍の介入には核兵器の使用もあり得たとマスコミにあえて公言して緊張を高めた。

 首脳会議には、欧州連合(EU)やNATO加盟国をはじめわが国を含む40カ国以上から首脳および閣僚、大使など代表が参加。ロシアによるクリミア共和国占領を非難し、ウクライナへの返還を求めるなどの共同宣言を採択した。

 共同宣言では参加国からロシアがクリミア半島で軍事的な動きを強め、さらなるハイブリッド脅威を高めているとして強い懸念が表明されたことを指摘している。軍事的圧力に加え、サイバー攻撃、フェイクニュース、選挙への世論工作などを通じて民主主義国の政情・治安を不安定化させる試みに警戒を解くことができない状況だ。

 またロシアはクリミア併合により、黒海とアゾフ海を結ぶケルチ海峡などクリミア半島沖海域の領有を主張し、ウクライナ船を拿捕(だほ)するなど強硬な措置を取っている。

 さらにクリミア半島周辺のウクライナ東部ドネツク、ルガンスク両州にまたがるドンバス地方で親露派武装勢力が「独立」紛争を起こし、停戦後も小競り合いが続くなど事実上の緩衝地帯にしている。

 さらなる監視と制裁を

 泥沼化の事態に、ウクライナを支援し、ロシアにクリミア返還を訴え、住民らの人権尊重、人道措置を要求する国際枠組みが始動したことは重要だ。今後もクリミア半島がロシアの領土と承認されることはないのであり、さらなる監視と非難、制裁が続くことになろう。