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仏大統領 コロナ禍で苦戦


任期1年を残し 支持率低迷

 フランス史上最年少の39歳で大統領に就任したエマニュエル・マクロン氏は、任期1年を残し、支持率が低迷中だ。4年前の大統領選で右派・国民連合のマリーヌ・ルペン候補を下した若きエリートは今、ジョンソン英首相が新型コロナウイルスのワクチン接種で感染拡大を抑え込んでいるのを見習い、自ら結党した中道・共和国前進(REM)とともに支持率を回復するため、猛スピードでワクチン接種を実施中だ。

 4年前の大統領戦後の総選挙で圧倒的多数の議席を確保したREMも、今では過半数割れしている。

 就任した年は、REMが圧倒的過半数を占めていることを背景に議会を通さず、強引に労働法を改正し、翌年は国鉄改革も断行し、ビジネスに有利な規制緩和も行った。

 しかし、強引な意思決定スタイルと経済政策が大企業や金持ち寄りとのイメージが強まり、反政府の黄色いベスト運動が起きた。想定をはるかに超える規模と長期にわたる抗議デモは国内に混乱をもたらし、同時にイスラム過激派のテロにも悩まされた。

 ようやく黄色いベスト運動が収束したところにコロナ禍に襲われ、高い感染者数、重傷者数に悩まされ、今は感染力が強く重症化しやすい英国変異株の感染を抑えるのに追われている。フランスは2007年に就任したサルコジ大統領以来、1期ごとに大統領が変わっている。残り1年で何ができるのかが問われている。

 期待されるのは得意分野である経済復興で失業率をどこまで抑えられるかだ。さらに欧州連合(EU)での指導力で英国離脱やコロナ禍で求心力が落ちているEU再生で実績を挙げられるかも問われている。また、イスラム過激派や犯罪組織による警察官への攻撃が増す中、治安回復も重要課題だ。

(パリ 安倍雅信)