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中国の外国語放送を問題視、仏公共テレビが批判


人権など「程遠い」内容流す

 フランスで中国中央テレビ(CCTV)の外国語放送(CGTN)のフランス語国際衛星チャンネルが、フランスおよびベルギーなどのフランス語圏で放送されていることが問題視されている。特にフランス人が雇われており、中国共産党のプロパガンダを流し続けていることに懸念の声が上がっている。

昨年12月17日、内モンゴル自治区に落下した月の土壌サンプルの回収など中国の月面探査を宣伝するCGTNの放送(UPI)

昨年12月17日、内モンゴル自治区に落下した月の土壌サンプルの回収など中国の月面探査を宣伝するCGTNの放送(UPI)

 CGTNはフランス語を含む五つの言語で利用できる国際TVチャンネルで、例えば新疆ウイグル自治区の人権弾圧には一切触れず、同自治区の観光の魅力を賞賛する番組を流している。仏公共テレビ・フランス2は報道番組で特集し「イスラム教徒のウイグル人少数派に対する弾圧が非難される状況とは程遠い番組が流されている」と指摘している。

 フランス2は、CGTNで中国を宣伝するために雇われたフランス人のグランジャン氏(偽名と思われる)を紹介。同氏は「自分は、政治化されていないエンターテインメントのホストにすぎない」とインタビューに答え、政治的質問には一切答えなかった。他にも何人かのフランス人が雇われているが取材には応じていない。

 その中で4年前まで中国外務省に採用され、北京のCGTNに勤務し、ニュースのフランス語翻訳の仕事をしていたエロディー・ブゾーさんが、フランス2のインタビューに答え、「確かに、中国共産党とテレビ局の関係は非常に密接で、毎週火曜日に共産党幹部との打ち合わせがあった」との証言を紹介している。

 CGTNは今年2月上旬、英国では中国共産党の宣伝放送という理由で放送免許が取り消され、違反すれば罰金を科すとしている。中国政府は強く反発し「不当な検閲だ」として決定を撤回するよう要求している。欧州の人権団体は「CGTNは中国の警察と協力して、中国政府に反対するジャーナリスト、弁護士、人権活動家を捕まえて拷問する手先になっている」と批判している。

 フランスでは、CGTNは同国の衛星オペレーターであるユーテルサットを介して放送されており、政府の放送許可が必要ないため、法的阻止は難しいという。ただ、情報の正確さと人間の尊厳性の問題で違反があった場合、ユーテルサットに対して政府は放送を遮断するように命令することは可能としている。

(パリ 安倍雅信)