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香港空港デモ、懸念される中国の強硬な措置


 香港で逃亡犯条例改正に反対するデモが続いており、抗議運動が国際空港にまで波及して全便が欠航になっている。警察当局の取り締まりが暴力的になっており、デモ参加者に負傷者が出る中で、中国政府はデモを打ち負かすとの強硬な声明を発表した。双方の衝突による不測の事態が懸念される。

当局が閉鎖に踏み切る

 連日繰り返されるデモに、警官隊が至近距離からゴム弾を射撃する、催涙弾を水平打ちする、警棒で激しく殴るなどの様子がスマートフォンなどで撮影され、SNSを通じてネット上に公開されている。その中で、目を負傷した女性の映像が反響を呼び、「目を撃つな」と抗議する人々で12日の国際空港到着ロビーは埋め尽くされた。

 到着ロビーで同条例に反対する民主派の座り込みによる抗議行動は、7月26日に1万人を集め、8月に入って再び9日から行われていた。外国人客が出入りする、警察が催涙弾を使用しにくい場所でアピールしようとしたものだ。しかし、取り締まりが構内に及べば激しい衝突が予想され、当局は空港閉鎖に踏み切った。

 この事態には国際社会からも懸念が寄せられている。足止めを食った旅行客の苦情もさることながら、カナダや米国などから中国政府や香港当局に対し、市民が懸念していることに真剣に耳を傾け、平和裏に問題を解決するよう求める声が上がっている。

 だが、中国政府で香港政策を担当する香港マカオ事務弁公室の楊光報道官は空港閉鎖と同じ日に「テロリズムの兆候が見られる」とデモを非難し、「暴力犯罪は打ち負かす」と強調した。中国側の指示により、香港の警察当局のデモ鎮圧がますます強硬になり、負傷者が増加する恐れがある。

 今回の問題は、中国が容疑をかければ香港で身柄を拘束された容疑者を中国本土に移送できる逃亡犯条例改正案が発端だ。中国の政治弾圧が増すと直感した香港市民は反対運動に立ち上がり、大通りを埋め尽くす200万人がデモに参加した。資本主義、自由と民主主義など高度な自治を香港に約束した一国二制度が形骸化しつつあり、生活空間にまで中国共産党の監視や影響が忍び寄ることへの拒絶感を、直接示した民意だ。

 林鄭月娥行政長官は同条例改正の無期限延期と自身の任期中に再提起しないことを表明したが、市民から信頼されていない状況が浮き彫りになった。高度な自治が十分に機能していない状況に、デモ参加者らの強い憤りがあることは理解できる。

 その中で、デモの一部が過激になり過ぎるのは戒めなければならない。7月1日の返還22周年にデモ隊の一部が立法会に突入して以来、香港の民主主義がデモもろとも強制力によって消されてしまう危険性すらある。

一国二制度を尊重せよ

 ロシアはウクライナの親露派政権がデモで崩壊した混乱を逆手に取り、クリミアを併合した。中国は武装警察を香港に近い深圳に集結させた。国際社会も、中国が香港の一国二制度を尊重し、冒険主義的行動に出ないように働き掛けるべきだ。