香港で立法会占拠、警察が強制排除


若年層の過激化に賛否

 2日未明、香港警察は中国本土への容疑者移送を可能にする逃亡犯条例改正案の「完全撤回」を訴えて立法会(議会)を占拠した反対派を強制排除し、3日から政府庁舎を通常機能させるため、事態の収拾を本格的に開始した。

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2日、香港立法会(議会)を占拠した逃亡犯条例の改正反対派を強制排除する警察(EPA時事)

 武装警察隊が立法会前に陣取っていた群衆に催涙弾を浴びせた上で立法会庁舎内に入り、短時間で立法会の議会場を奪取し、掌握した。

 林鄭月娥行政長官は同日朝、緊急記者会見を開き、「違法な暴力行為を厳しく徹底追及する」と過激化した反対派の違法行為を強く非難した。林鄭長官は「改正案の審議はすでにストップし、来年7月の会期終了後までに可決されなければ自動的に廃案になる」と説明。完全撤回を明示しないまま、警察による徹底追及を緩めず、自身の続投意思を表明し、強気の姿勢に転じ始めた。

 同席した警察トップは、反対派が投げた毒性のある液体や粉末で警官15人が病院に搬送されたことを明らかにした。香港政府の発表では1日の一連の抗議行動で約60人が負傷し、うち3人が重傷を負った。

 反対派の一部は1日午後、鉄パイプや鉄柵を使って力ずくで立法会庁舎1階の窓ガラスを打ち破り、過激化した数百人が内部になだれ込んだ。立法会の議場内にある歴代の議長の肖像画や議長席、香港行政区旗などを破壊したり、スプレーで汚したり、落書きしたりして約3時間にわたって議場に居座った。

 これまで6月9日や16日のデモでも警官隊と反対派の衝突はあったが、ここまでエスカレートしたのは初めて。香港では世代間ギャップが根強く、若年層と中高年層の価値観の違いで対立があり、今回のデモについても過激化する若年層と平和裏に抗議する無党派の人々の間で思惑の違いも出始めている。

 ただ、台湾でのヒマワリ運動のように中高年層の中にも若者らの動きに同情して支援する動きもあり、行き過ぎた行動には批判の目もあるが、一部では引き続き支援しようとの心理も残っている。

 今後、若者の過激な抗議が常態化すれば、法治社会としての香港のあり方を問われかねず、大多数の支持は得られにくい。このため、香港政府や親中派は政局を大きく逆転して挽回する好機とみて、非合法活動を厳しく問いただし、一般市民の支持を取り戻す戦略を取ろうとしている。

(香港 深川耕治)