世界日報 Web版

米艦と台湾海峡、国際法が認める航行継続を


 米海軍の艦艇2隻が台湾海峡を航行した。米海軍のローガン報道官は「国際法にのっとった」航行で「自由で開かれたインド太平洋への米国の決意を示すものであり、今後も国際法が認めるあらゆる場所で、飛行、航行、作戦行動を実施する」と、作戦の継続を強調した。

通過したのは今年2度目

 米艦の台湾海峡通過は、今年に入ってからは7月以来2度目となる。「一つの中国」原則を認めない台湾の蔡英文政権に圧力をかけ、中台統一に意欲を示す中国の習近平政権ににらみを利かせるための動きだろう。中国外務省の華春瑩・副報道局長は「中米関係と台湾海峡の平和と安定を損なわないよう、台湾問題を慎重かつ適切に処理するよう米国に促す」と批判した。

 しかし台湾に対するものに限らず、中国の覇権主義的な動きは目に余る。東シナ海では沖縄県・尖閣諸島の領有権を一方的に主張し、中国公船が尖閣周辺で領海侵入を繰り返している。南シナ海では人工島を造成して軍事拠点化を進めている。国際秩序を揺るがし、地域の安定を脅かすことは許されない。

 南シナ海をめぐっては、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国独自の境界線「九段線」について「法的根拠はない」との判断を下している。米軍は今月中旬、核兵器搭載が可能なB52戦略爆撃機2機を南シナ海で飛行させた。9月末にも東シナ海と南シナ海に派遣している。国際法が認める飛行や艦艇の航行を継続する米国の意思を明確に示す必要がある。

 一方、南シナ海では9月末に「航行の自由」作戦を実施していた米イージス駆逐艦に中国海軍の駆逐艦がわずか45ヤード(約41㍍)以内に異常接近する事態が発生した。米艦は衝突を避けるために進行方向の変更を余儀なくされたという。極めて危険な挑発行為だ。

 米国は先月、ロシアの最新鋭地対空ミサイルシステムS400と最新鋭戦闘機スホイ35を購入したとして、中国の中央軍事委員会装備発展部と李尚福部長を制裁対象に指定した。これを受け、中国は10月中に予定していたマティス米国防長官の訪中と「外交・安全保障対話」を中止するなど米中間の軍事面での対立が深まっている。

 シンガポールでのマティス氏と中国の魏鳳和国務委員兼国防相による米中国防相会談では、南シナ海をめぐる問題を中心に協議。両国は対話を継続する重要性では一致したものの、安全保障分野では異なる立場を主張し合い平行線に終わった。

 中国は南シナ海を台湾やチベット、新疆ウイグル自治区などと同じように、安保上譲歩できない「核心的利益」と位置付けている。中国側は会談で「必要な防衛施設を配備しているだけだ」などと、これまでの主張を繰り返した。

日本も中国への牽制を

 岩屋毅防衛相もシンガポールでマティス氏と会談し、法の支配や航行の自由の確保に向け、緊密に協力していくことを確認した。

 海上自衛隊の潜水艦が先月、南シナ海で訓練を行った。日本は同盟国の米国と共に中国を牽制(けんせい)すべきだ。