世界日報 Web版

中国の海洋進出、衆院選の重要なテーマだ


 衆院を解散した安倍晋三首相は、北朝鮮の核・ミサイル開発を挙げて「国難突破解散」と命名した。しかし、もう一つの安全保障上の重要課題である中国の海洋進出への対処も忘れてはならない。

 ジブチに初の海外基地

 日中両国は国交正常化から45年を迎えた。安倍首相は中国の李克強首相への祝電で「あらゆる分野で協力と交流を推し進め、安定的な友好関係を築いていきたい」と強調した。

 だが、中国との間の懸案は未解決のままだ。中国は沖縄県石垣市の尖閣諸島の領有権を一方的に主張し、尖閣周辺では中国公船が領海侵入を繰り返している。東シナ海の日中中間線付近ではガス田の開発も続行している。日本の主権や権益を損なう振る舞いは容認し難い。

 日本だけではない。南シナ海では人工島を造成して軍事拠点化を進めている。インド洋では、パキスタンのグワダル港やスリランカ南部のハンバントタ港などを拠点に覇権拡大を目指す「真珠の首飾り」戦略を展開している。

 さらに、アフリカ北東部のジブチに軍事基地を開設して8月から運用を開始した。ジブチは世界貿易物流量の20%が通過するバブ・エル・マンデブ海峡に面する戦略上の要衝だ。中国軍にとっては初めての海外基地である。

 米企業の衛星写真によれば、基地警備は三重態勢で要塞化しており、約2万3000平方㍍の地下空間も備える。滑走路につながる誘導路や格納庫は、多種のヘリコプターを収めるのに十分な大きさがあるとみられ、航空作戦能力もあるようだ。基地ではこのほど、海軍陸戦隊(海兵隊)主体の初の軍事演習も行われたという。

 中国はシルクロード経済圏構想「一帯一路」で経済的・政治的な影響力を広げようとしている。習近平指導部の下で大規模改革を進める軍も、それを支える役割を強く求められている。

 「中華民族の偉大な復興」を掲げる習氏の権力基盤が、来月の共産党大会で強固になれば、海洋進出も一層強化される恐れがある。共産党大会に合わせ、中国初の国産空母が初の試験航海を行うとの報道もある。警戒が必要だ。

 安倍首相は今月、インドのモディ首相と会談したが、インドを包囲する形で拠点を構築する中国に対する明確な言及はなかった。北朝鮮の核・ミサイル開発に対処するため、北朝鮮に影響力を持つ中国に一定の配慮を示したものだ。

 しかし、これでいいのだろうか。中国は、国際社会の注目が北朝鮮問題に集まっているのをいいことに、南シナ海の軍事拠点化などを着々と進めているとの指摘もある。

 日本はインドのほか、米国やオーストラリアなどとも連携し、防衛協力を強化するだけでなく、南シナ海やインド洋の沿岸国に航行の自由や法の支配などの価値観を浸透させて中国を牽制(けんせい)すべきだ。

 各党は建設的論戦を

 衆院選では、中国の海洋進出の脅威にどのように備えるか、各党は現実的で建設的な論戦を展開してほしい。