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中露首脳会談、「現状変更」正当化は身勝手だ


 中国の習近平国家主席は、中国を公式訪問したロシアのプーチン大統領と北京で会談した。

 この2日前、両首脳はウズベキスタンで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせて会談したばかりで、3日間で場所を変えて2度会談するのは異例だ。

 結束誇示して米に対抗

 ロシアはウクライナ南部クリミア併合などによる欧米の経済制裁下にあり、中国は南シナ海問題で国際社会の批判を浴びている。2度の首脳会談には、中露両国への国際的な圧力を主導してきた米国に、結束を誇示することで対抗する狙いがある。

 今回の会談で、習主席は「国家間の紛争や地域の焦点となっている問題は平和的な協議を通じて政治的に解決すべきだ」と指摘し、南シナ海で「航行の自由」作戦を続ける米国を暗に牽制(けんせい)した。会談後に発表された共同声明でも、米国を念頭に「域外の勢力が北東アジアで軍事的存在感を高めることに中国とロシアは反対する」と主張した。

 しかし、両国の「力による現状変更」の正当化は身勝手であり、国際社会に受け入れられることはない。

 共同声明は「北朝鮮の核・ミサイル計画を口実に、北東アジアで高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備することは受け入れられない」としている。これも米国の介入を排除しようとする姿勢の表れだろう。

 THAADは高度40~150㌔のミサイルに対応できるため、北朝鮮からのミサイル攻撃に有効とされており、米韓両国の間で現在、在韓米軍配備に向けた協議が行われている。中露が自分たちの都合で反対すれば、日韓両国は北朝鮮への抑止力を高めることができない。

 一方、習主席は英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けた経済の混乱を念頭に「世界経済が発展する上でぶつかる困難と挑戦に共同で対応しなければならない」と述べ、ロシアとの経済協力強化を訴えた。

 ただ、両国の協力関係は停滞している。2015年の中露貿易の総額は約680億㌦で前年比28%減となった。原油相場の下落のほか、クリミア併合で制裁を科されているロシアへの協力には慎重にならざるを得ないことも影響したようだ。

 ロシア側も、経済力が向上した中国の外交姿勢が強硬になってきたことに警戒感を強めている。2度の首脳会談によって中露「蜜月」をアピールしたものの、両国関係にはほころびも見られる。

 共同声明には「中露両国は第2次世界大戦の戦勝国として、勝利の成果をしっかりと守り、戦争の歴史を否定または歪曲(わいきょく)しようとする動きに反対する。ファシズム、軍事主義の罪を否定する行為を批判する」との一文もある。歴史問題における対日牽制を狙ったものだろう。

 日本はきちんと反論を

 だが日本は戦後70年、平和を守ってきた。戦後の秩序を乱しているのは中露の方だ。日本はきちんと反論する必要がある。

 中露は地域の大国であることを自覚し、国際社会と協調するる方向に向かわなければ、孤立を深めるだけであることを認識しなければならない。