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台湾代表機関 リトアニア設置を支持する


 バルト3国のリトアニアが、台湾の代表機関「駐リトアニア台湾代表処」の設置を許可したことに中国が反発を強めている。「一つの中国」原則を理由に台湾との公式関係を絶つように求めて駐リトアニア大使を召還し、リトアニア政府にも駐中国大使の帰国を要求するなど圧力をかけるが、中国の外交における覇権主義的な振る舞いこそ容認できない。

 ワクチン2万回分を寄付

 国交のない台湾とリトアニアが実務関係を発展させるため代表機関を設置するのは、経済・貿易、産業、科学技術などの分野で相互利益を追求できると判断し、協力関係を発展させることで合意したためだ。

 リトアニアは新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)に伴い、世界保健機関(WHO)から台湾が排除されていることを問題視し、WHOに台湾の年次総会参加を認めるように要請。6月には新型コロナ感染拡大の中、ワクチン不足で窮地にあった台湾に2万回分を寄付した。

 バルト海の小国であるリトアニアは、今後さらなる経済発展が見込まれるアジア太平洋地域の市場に注目しており、今秋にも台湾に代表機関を設置してアジア市場開拓の拠点にしたい考えだ。既に台湾は7月20日に台湾代表処をリトアニアに設置することを発表し、これをリトアニアが承認した。

 しかし、リトアニアと国交を結ぶ中国は、代表機関の名称の「台湾」明記をリトアニアが許可したことについて「一つの中国原則は国際社会の共通認識だ」と反発し、駐リトアニア大使召還などの揺さぶりをかけている。が、今や「一つの中国」原則とは問題の多い中国共産党一党独裁の「許容」だと国際社会は見抜いている。

 台湾と実務関係を結ぶ地域の国際的な広がりを、独立に向けた既成事実化とみる中国の執拗(しつよう)な「台湾」潰(つぶ)しは世界各地で行われてきたが、近年、中国の「現状変更」を伴う覇権主義的行動が国際社会から懸念されている。リトアニアが加盟する北大西洋条約機構(NATO)に属する欧州地域でも、中国の軍事的脅威、新疆ウイグル自治区での深刻な人権侵害に非難が高まっている。

 特にリトアニアは議会で新疆ウイグル問題を「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定し、中国と東欧など17カ国の経済協力枠組み「17+1」から脱退し、他の参加国に離脱を呼び掛けている。中国の投資による「債務の罠(わな)」など中国との経済協力への不信感と共に、歴史的にロシア(旧ソ連)による併合や圧力に苦しんだ背景は、中国による「統一」の脅威にさらされている台湾と共通すると言えよう。

 民主主義諸国は支援を

 リトアニアは、昨年のベラルーシ大統領選挙の不正を訴えてデモを行ったベラルーシ人が、ルカシェンコ政権の弾圧を逃れた際に受け入れた。旧ソ連など大国の独裁に苦しめられた小国の歴史から敏感な人権意識が根付いている。

 バルト海と太平洋の自由の橋頭堡(きょうとうほ)として両者の実務関係を歓迎する。民主主義諸国は結束して支援していくべきだ。