新型肺炎で外出控える中国住民


ネット通販、医療が活況

 中国では新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で景気が冷え込む中、中国式の「宅経済(日本の「オタク」が語源で自宅中心の経済のこと)」が異彩を放っている。地方政府を含め厳しい人の出入りの制限の中で、一般住民は八方塞(ふさ)がり。「上に政策あれば下に対策あり」で、会社に出勤できず、学校は休校という環境の中、自宅にいてできることに予想以上のバブル需要が出ているのだ。

693

中国の電子商取引最大手アリババ集団傘下で医療関連のネットサービスを担う阿里健康。アプリで問診・相談窓口にアクセスできるのが人気(同社のウェブサイトより)

 マイクロソフト「オフィス」の中国版にあたる中小企業向けソフト、アリババ製の「釘釘(ティンティン)」は遠隔での勤務が可能となるため愛用者が増えている。中国ネット通販2位の京東集団は、武漢市内に医療物資を無人車を使って運ぶサービスを行って需要を伸ばしている。

 生鮮食品ネット通販の「叮●(=口へんに冬)買菜(ディンドンマイツァイ)」が注文は3倍に急増した。ネット医療業界も利用が伸び、医薬品ネット通販大手アリババ傘下の「阿里健康」、中国の通信教育大手「新東方在線(Koolearn)」、バイオ医薬品の創薬開発製造を行っている「薬明生物」の株価が急騰。中国大手のネット通販では注文が急増して人手不足となる一方、大半の伝統的なサービス業は、人々が外出を控えて自宅待機していることから従業員の仕事がない兵糧攻め現象が起きた。

 香港紙「星島日報」3月4日付によると、中国本土で2月下旬以降、臨時休業を終えて通常業務に切り替える企業が急増する一方、浙江省の製造業を引き合いに、業務再開に合わせた電気空調費の免税措置を悪用して開店休業状態で免税を利用したり、社会保険料が申告数値操作で膨れ上がっていると報じている。

 武漢肺炎事態の中、不正が地方で横行すれば政権基盤にも影響しかねない状況だ。

(香港 深川耕治)