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【社説】中露軍事協力 わが国は恫喝に屈するな


習近平氏とプーチン氏

 中国とロシアが軍事協力強化の動きを見せている。10月には中国海軍とロシア海軍の艦艇合わせて10隻が津軽海峡を西から東へ通過した。その後、この合同艦隊は訓練を重ねながら太平洋を南下し、大隅海峡を抜けて東シナ海に入るなど日本列島を周回する行動を続けた。

相次ぐ両国の威嚇行動

 津軽海峡の中央部は公海とされ軍艦の通過は認められているが、両国海軍の艦艇が同時に通過したのは今回が初めてだ。一体となって日本の周辺海域を行動したのも極めて異例である。

 中国とロシアの国防省は、両国の海洋経済活動を保護する目的で実施したと発表した。だが、日本をほぼ一周したこの艦隊の派遣が、わが国に軍事的圧力をかけることを狙ったものであることは明らかである。岸信夫防衛相も「このような大規模、長期間の活動は初めてで、極めて異例。わが国に対する示威活動を意図したものと考えている」と語り、警戒監視に万全を期す考えを示した。

 中露両国の威嚇行動はその後も続いており、今月には中国海軍の艦艇2隻とロシア海軍の艦艇1隻が相次いで対馬海峡を南下し、日本海から東シナ海に進出。さらに合同パトロールと称し、中露空軍が日本海や東シナ海の空域で10時間以上にわたって爆撃機による共同訓練を実施している。

 中露両国は同盟関係にはないが、上海協力機構の枠組みの下で2005年に初の共同軍事演習を実施し、軍事的な連携を深めて米国を牽制(けんせい)している。中でも中国はトランプ前米政権の誕生後、米国との対立が強まっている。

 また日米豪印による連携枠組み「クアッド」や米英豪の新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設など、自由諸国が中国の膨張阻止や台湾防衛のため結束を強め、西太平洋や南シナ海で共同訓練を重ねていることに神経を尖(とが)らせている。このためロシアを誘い一体となって行動することで日米欧の結束に対抗するとともに、軍事的な恫喝(どうかつ)を日本に加え、日米同盟に楔(くさび)を打とうとしているのである。

 軍備増強を続ける両国の動きを見れば、今後も同様の威嚇行動を繰り返すことが予想される。中露の脅威が一体化すれば日本は二正面作戦を強いられ、南の中国だけでなく同時に北のロシアにも備えなければならない。国際情勢は厳しさを増すが、断じてわが国は中露両国の恫喝に屈してはならず、毅然(きぜん)とした態度で臨むべきである。

 そして、国防力の強化が急がれる。日本周辺の警戒監視体制を万全ならしめ、また日米同盟をより強固なものとすること、さらに国防政策の抜本的見直しも必要だ。

大胆な国防政策の転換を

 岸田文雄首相は国家安全保障戦略や防衛計画大綱、中期防衛力整備計画の見直し作業に着手する考えを示している。

 東アジアの安全保障環境が急激に悪化しつつある現在、敵基地攻撃能力の保持や専守防衛戦略の見直し、さらには非核三原則の在り方も含めて、いまや大胆な国防政策の転換が求められている。