
【ワシントン山崎洋介】トランプ米大統領が駐日大使に指名した、元ポルトガル大使のジョージ・グラス氏の人事が8日、上院本会議で承認された。グラス氏は対日貿易の赤字削減や、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の増加をめぐり、日本への圧力を高める考えを示している。中国に対する厳しい姿勢でも知られており、経済面での対中依存度の抑制を日本に迫る可能性がある。
グラス氏は先月中旬の承認公聴会で、関税や対日貿易赤字削減について、「厳しい交渉を行う」と強調。軍拡を進める中国に対抗するための米軍の負担が増しているとした上で、思いやり予算の引き上げを、日本側と「間違いなく」話し合うとも述べた。また、日本の防衛費増額についても「日本に約束を守らせる」と訴えた。
グラス氏は投資銀行や不動産会社の経営者を経て、1期目のトランプ政権では2017~21年に駐ポルトガル大使を務めた。赴任中、中国に対して厳しい姿勢で臨み、中国との協力で高速大容量規格「5G」ネットワークの開発を進めることに安全保障上の懸念を示し、「同盟国か中国のどちらを選ぶのか」と迫ったことで知られる。
承認公聴会でも中国に対抗するため、日米豪印の枠組み「クアッド」や、日米韓、日米比などの多国間連携を強化する考えも示している。
採決では66人が賛成、32人が反対した。グラス氏は宣誓を経て、近く着任する。