【上昇気流】(2023年6月26日)

拙宅近くの国立理工系大学で、2、3年前から年に何回か人工知能や原子核問題などをテーマに公開シンポジウムが行われるようになった。地域の中核大学・公的機関としての立場を自覚し、その存在をアピールしている。

このほど令和5年版「科学技術・イノベーション白書」が刊行され、タイトルは「地域から始まる科学技術・イノベーション」。地方創生と、世界に伍(ご)するための開発力アップの方策をセットにし、そのための改革を訴えている。うまくいけばいいのだが……というのが感想だ。

日本の有利な点は、各地に独自の文化が根付いていること。国がこれらをマッチングして無駄なものをそぎ落とし、さらに現代的な技術に結実させるという狙いだ

例えば既に知られているが、青森県八戸市は工業港を抱える地の利を生かし、昔から金属産業が盛んだ。今、フラットパネルディスプレーなど先端産業の技術者が育っている。

白書では「産官学共同」も強調した。日本の特に地方では大学間で教授や研究員の交流が少なく、大学教育の魅力が損なわれている。ドイツには全国に展開するフラウンホーファー研究所があり、ここで企業からの要望に応える研究を進め、大学院生が実用化研究を受け持っている。本文に指摘はないが、この機関の例が念頭にある気もする。

白書には、次代の科学者を育成する必要性がにじみ出ている。やはり思い至るのは、わが国で進む少子化の行方である。

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