トップ未分類離島の課題 ICTで克服 沖縄県宜野湾市で展示会・セミナー開催

離島の課題 ICTで克服 沖縄県宜野湾市で展示会・セミナー開催

熱心に遠隔授業の取り組みについて学んだ教育関係者ら 沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンター

教育現場・企業でのデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められるに当たり、情報通信技術(ICT)の活用方法が問われている。沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターでこのほど、教育関係者を対象としたICTセミナーが展示会と共に開催され、ICTの環境整備や活用方法について学んだ。 (沖縄支局・豊田 剛)

遠隔交流学習でコミュニケーション力向上も

沖縄県では生徒1人1台のノートパソコンやタブレットなどの情報機器の整備が進み、離島を含むほぼ全ての公立学校への超高速インターネット整備が完了するなどIT整備が進んでいる。特に、多くの離島が存在し、学外活動や交流に地理的制限がある沖縄では、ICTの活用が課題解決には不可欠だ。

講演する宮城渉氏 沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンター

情報教育対応教員研修全国セミナーは7月14、15の両日開催され、教育関係者らが参加した。主催は遠隔教育に必要な設備などを扱うオーエスビー沖縄(小森將司代表取締役)。

沖縄を代表して講演したのは、沖縄本島に陸路で移動できない津堅(つけん)島にある公立学校、津堅小中学校の宮城渉(わたる)教諭だ。うるま市では、ICT活用島しょ地域児童生徒交流実証事業が行われている。

市立津堅小中学校は、中学校の在校生はわずか8人。島には高校がないため、中学を卒業すると島を離れてしまう。このままでは廃校になる可能性もあるため、移住者を島に招くために、魅力的な小中学校にすることが不可欠となっている。

宮城氏は「小規模学校だから、ほかの学校とつながる必要がある」と話す。一人の先生が複数の教科を担当している一方、専門教師が配属されていない。そのため、美術の授業ではデザイナーなどのその分野の専門家らとオンラインで結んで授業を行っている。習字の授業では、大きなモニターに映像を映し出して授業を実施している。

また、他校とつないで合同授業をすることも多い。社会科の遠隔交流学習では、お互いの地域について伝え、疑問に思ったことを伝え合ったり、感想を伝えたり、三線の生演奏を共同で行うなど、コミュニケーション能力を高める助けにもなっているという。宮城氏は「多様な人々とのつながりを実現する遠隔教育の効果がある」と強調した。

コロナ禍の緊急事態宣言下では、臨時休業中に各家庭とつないで学習支援をした。濃厚接触者として登校できない児童生徒が出ることもしばしばあり、職員会議、校内研修、講演会を遠隔で行い、どこでも参加できるようにした。体育教師が自宅待機を余儀なくされた際は、生徒は自宅にいる教師とインターネットでつながり、体育館で指示通りにダンスを行った。

オンラインで国内外と交流することでグローバル感覚を培う試みも実施された。中学の英語の授業では、港の清掃活動を海外の生徒にどう伝えるかをテーマに、テロップをつけて発信する取り組みを行った。その中でエストニアの中学校とオンラインでつながり、お互いの取り組みを英語と日本語でプレゼンテーションした。「授業中に発言が少なかった生徒が、オンライン授業では自分の考えを発言することが増え、生徒には自信になった」(宮城氏)という。

沖縄戦の体験者から話を聞く恒例の平和学習については、来島してもらうことが難しいため、オンラインで実施するなどしている。宮城氏は「オンライン授業を行うことで学びの継続ができただけでなく、信頼関係が深まった」と振り返った。

 ただ、教育現場の課題は多い。宮城氏によると、①授業準備が大変②どのツールを使ってどう操作したらいいのか分からない③成績をどう評価したらいいのか分からない④画面が小さいので周りの様子が分かりにくい⑤ネットの接続環境がそれぞれで、特に離島は天気が悪いと接続しにくい⑥通信容量の心配がある――といった課題が浮き彫りになっている。宮城氏は、県や自治体、教育委員会に支援・協力をお願いしながら改善し継続していくことが重要だと話した。

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