「違憲」自衛隊の活用 矛盾の責任を自民に転嫁

【連載】日本共産党100年 第1部 問われる「革命」路線(4)

自衛隊は憲法違反なので解消する方針に変わりないが、段階的解消なので一定の期間自衛隊が存在する。そうした過渡的な時期および私たちが参加する連合政権では自衛隊イコール合憲の立場をとる――これが現在の共産党の見解だ。

この矛盾について志位委員長は「もとをたどれば、自民党政権が作り出した矛盾」であり、「その矛盾を引き受けて憲法9条の完全実施に向けて解消していく責任を果たす」と語っている。

そして、それは「一足飛びにはできない」が「日米安保条約廃棄前の段階」「日米安保条約が廃棄され、日本が日米軍事同盟から抜け出した段階」「国民の合意で、憲法9条の完全実施-自衛隊解消にとりくむ段階」の3段階を経て「常備軍によらず安全を確保」できるというのである。

だが、それは可能だろうか。共産党は「独立・中立を宣言した日本が、諸外国とほんとうの友好関係をむすび、道理ある外交によって世界平和に貢献する」ことにより「どれだけ時間がかかるか分からないけど、そういう時期は必ず来る」と「確信している」と主張する。

では、「ほんとうの友好関係」とは何か、宗教、民族などの対立で戦争の絶えない今日の世界で「道理ある外交」は通用するのか。「もう自衛隊なしでも安心だ」という国民の合意があって解消に本格的に取り組むというが、日本を取り巻く安全保障環境が「自衛隊なし」でも日本の平和と安全が保障される日が来ると信じる国民は少ない。空想的安保論だと言える。

最近、ロシアのウクライナ侵攻に絡め、志位委員長が語った自衛隊「活用」論が注目されているが、これもご都合主義で抜け穴だらけの無責任な主張だ。そもそもこの「活用」論が語られ始めたのは、今から22年前のこと。不破議長(当時)がテレビ討論番組で司会の田原総一朗氏と小沢一郎・自由党党首(同)から日本の国防について追及されてやり込められた。当時、政策委員長だった筆坂秀世氏は「討論会後、すぐに私に電話がかかってきた。『自衛隊問題をもう少し深める必要があるね』という内容だった」と証言している。

その後の同年秋の第22回党大会で「自衛隊を解消する前の過渡的な時期に急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要に迫られた場合には、自衛隊を国民の安全のために活用する」という方針が打ち出された。

だが、軍拡を続ける中国、ロシア、北朝鮮などの脅威が増す中で、「6兆円を超える軍事費を削っていく」政策を掲げ、弱体化を図る自衛隊を「活用」して日本の安全は保障されるのか。かつて「中国が尖閣諸島を攻めてくることはあり得ない」と主張していたが、中国を「覇権主義」と批判する今日では逆に、脅威に対抗するため必要なら防衛費の増額もするのか。

戦後の共産党が「自衛の権利」や「自衛の措置」の必要性を否定したことはない。自衛隊の活用論が出される前の第20回党大会(1994年)では「憲法問題と日本共産党の立場」がまとめられ、「急迫不正の主権侵害にたいしては、警察力と自主的自警組織など憲法9条に矛盾しない自衛措置をとることが基本である」と書かれた。

党執行部は「事実上の国防軍」と内輪の幹部党員だけに文書で説明したが、ここに自衛隊を解消した後に自衛隊を再編成して立ち上げる人民軍(国防軍)発足構想とそのための憲法改正(あるいは社会主義憲法制定)の思惑が隠されているともみられる。

(日本共産党100年取材班)

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