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北海道「教師の道」倶楽部がスタート

能動的な学び合いの場をつくる

4月10日に行われた北海道「教師の道」倶楽部の設立総会と第1回例会

北海道で新たに教育関係者、現役教師による団体がこのほどスタートした。名称は「北海道『教師の道』倶楽部」。「教師は共に学び、共に成長する」という理念で結成された同倶楽部は、それまで10年間にわたって活動を続けてきた北海道師範塾「教師の道」の精神を継承。揺れ動く北海道の教育界の中で一目置かれる存在になりそうだ。(札幌支局・湯朝 肇)

「共に学び 共に成長」の精神で

吉田洋一・北海道「教師の道」倶楽部会長

「教師にとって必要な学びは、担当する教科に限るものではないはず。むしろ自分の守備範囲を超えて、多様で幅の広い分野に目を向けて学んでいく姿勢こそ大切。当倶楽部は自ら学びたいという内発的な動機を持った方々による能動的な学び合いの場をつくることを目的に設立しました」――こう語るのは、同倶楽部会長の吉田洋一氏。元北海道教育長で現在、創志学園クラーク記念国際高校校長の同氏は、今から10年前に北海道師範塾「教師の道」をスタートさせている。

当時、教育界は公立学校の教職員が卒業や入学式の時に国旗掲揚を無視し、国歌斉唱しないといった、いわゆる君が代・日の丸訴訟が頻繁化するなど異常な状態が続いていた。北海道の教育界も、ご多分に漏れず北海道教職員組合(北教組)を中心に混乱が続いていたのである。そうした中で吉田氏らは、現役教師を中心とした研究会を発足。同会が主催するセミナー開講時には必ず国歌斉唱を行うなど教師としての姿を見せた。その一方で、教師を目指す若者を対象に教師養成講座を開設。現役教師らのボランティアによって進められた同講座から10年間で100人以上の若者が教師として巣立っていった。

その北海道師範塾「教師の道」は今年3月、設立10年の節目を迎えいったん解散、今年4月10日、北海道「教師の道」倶楽部として設立、新たに教師のための勉強会をスタートすることになったのである。この経緯について吉田会長は、「北海道師範塾は10年間で一定の成果を挙げてきたと思っています。ただ、師範塾の『共に学び 共に成長する』という精神が時と共に薄れているのではないかとの思いを深くし、いったん区切りを付け、再度、リフレッシュするという意味を込めて今回のスタートとなりました」と説明する。

同倶楽部の運営自体は極めてシンプルだ。偶数月の第2日曜日、午前の時間に札幌市内のホテルを会場に勉強会と称する例会を開催。会員の中から2人程度の話題提供者がそれぞれ1時間ほどスピーチし、昼食を挟んで懇談するといった形式にしている。

話題提供者のテーマも教師としての人間力を高めることを目的として教育に限らず、人としての生き方や社会問題まで幅広い。会費制は取らず、例会開催の都度、参加者から昼食費を含め会員2000円(大学生1000円)を徴収、オンライン参加の場合は無料となる。

ちなみに設立総会を行った4月10日には、第1回例会として2人の会員が話題提供をした。1人目は北海道文教大学の相馬哲也教授で、「教員志望学生のキャリア意識と地方自治体の教員養成政策」をテーマに発表。僻地(へきち)小規模校の多い北海道において、近年のICT教育化が進む小規模校の様子や教員を目指す学生の意識、さらに教育実習生を受け入れる自治体の学生に対する期待などについて報告した。

また、2人目の北海道教育庁宗谷教育局の小山内仁・義務教育指導監が「学校の自主性・自律性を促す地方教育行政の役割」について報告した。小山内指導監は、学校運営の視点から北海道の一地域の学校の様子を分析する。すなわち、「公教育は当然、学習指導要領に基づいて教育活動が展開されなければならないという原則があるが、そうなっていない実態がある」と指摘、その原因について「校長および教育委員会トップのリーダーシップ不足、さらには半世紀にわたって教育現場を歪(ゆが)めてきた北海道教育委員会と北海道教職員組合の“労使交渉”いわゆる『46協定』の存在が未(いま)だに色濃く残っている」と指摘する。

2人の話題提供は、単なる教育の理想論にとどまるのではなく、北海道の教育界が現在抱える課題でもあり、実に現実的なテーマといえる。今後、会員による話題提供は今後の教育界への提言につながるものだけに例会に興味をかき立てられる。

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