文化の最新記事

最新記事一覧

名手による短編小説への誘い 阿部昭著「新編散文の基本」を読む

日本の近代文学では、短編小説の名作が幾つも生まれた。しかし、最近は短編が話題になる事はほとんどなくなった。文体の魅力、文章の彫琢などがより問われる短編小説の衰退は、文学そのものの衰退を意味する。そんな中で、戦後を代表する短編小説の名手、阿部昭の『新編散文の基本』(中公文庫)は、改めて短編小説の魅力を語りその世界に誘ってくれる。

【フランス美術事情】 パトロンが王侯貴族からブルジョワへ

日本でもファンの多い印象派が西洋美術に決定的方向性を与えたのは、教会や王侯貴族の依頼で制作を行う職人的性格が強かった画家たちが「芸術家」を意識し始めたことにある。産業革命でブルジョワが画家のパトロンになり、大衆化が進み、王侯貴族しか手にすることがなかった絵画が大衆に浸透し始めた時代と重なる。

「レコオドと私~秋聲の聴いた音楽」 “音楽”を通じ作品と時代を紹介

明治の文豪・尾崎紅葉の門下には、金沢ゆかりの幻想的な作風で知られる泉鏡花がよく知られているが、もう1人、同じ紅葉門下でまったく別な作風を完成させた作家がいる。

仙台市沿岸部で地域を活性 「川俣正/仙台インプログレス」報告展

東日本大震災の津波によって空き地となり、ほとんど人が住んでいない地域でコミュニティーのつながりと活性化を促進するプロジェクト「川俣(かわまた)正(ただし)/仙台インプログレス」の報告展が宮城県仙台市の「せんだいメディアテーク」で5月30日まで開かれている。

英訳『こゝろ』が新装版に 英文学者近藤いね子と夏目漱石

津田塾大学英文科主任だった近藤いね子(1911~2008年)は、1941年、夏目漱石の「英訳『こゝろ』」(北星堂出版)を刊行し、翌年岡倉賞を受賞した。これは48年に研究社から再版されたが、間もなく絶版に。そして再び、国書刊行会から新装版としてよみがえった。

鎌倉入りを果たした白馬 金乗院義貞霊馬堂/埼玉県所沢市

埼玉県所沢市にある狭山丘陵は、雑木林や湿地、谷戸がある自然環境で、歴史の足跡をとどめた所でもある。

邪馬台国=ヤマト王権説に傾斜 NHKスペシャルで古代史ミステリー

NHKスペシャルが「古代史ミステリー」と題して、日本国家の始まりを特集した。第1集「邪馬台国の謎に迫る」、第2集が「ヤマト王権空白の世紀」。最近の研究成果をもとに古代史の謎に迫ったもので、興味深いものだった。

日常の風景画約45点を展示 西村榮悟回顧展/福島県川俣町の羽山の森美術館

洋画家・故西村榮悟氏の回顧展「回復と回帰・或る画家の一生」が、福島県川俣町の羽山の森美術館で3月31日まで開かれている。

ライバルを通し見る映画術 貴田庄著『小津安二郎と七人の監督』

昨年は日本映画の巨匠、小津安二郎の没後60年、生誕120年で関連本が相次いで出版された。貴田庄氏の『小津安二郎と七人の監督』(ちくま文庫)は、小津とほぼ同時代に活躍した7人の映画監督との対照から小津映画の秘密に迫っている。

【フランス美術事情】デジタル空間が芸術を変える?

今世紀に入り、美術作品を距離を持って鑑賞する展示スタイルから没入型展示が増える中、ストリートアートなど都市空間そのものが芸術の表現の場として開放され、同時にデジタル空間を通じて時空や物理的なスペースを超えた空間も表現の場になりつつある。

明治以降の書家が一堂に アキタの書・その魅力/秋田県立近代美術館

日本と秋田を代表する書家の魅力を凝縮した企画展「アキタの書・その魅力」が秋田県横手市の秋田県立近代美術館で開催中。単なる書道展ではなく近代の書の歴史を俯瞰(ふかん)している点が特徴だ。同館収蔵の約260点から明治―平成の代表作53点を展示する。

3・11の震災を忘れない せんだいメディアテークで企画展「星空と路」

東日本大震災から13年目を迎え、宮城県仙台市の「せんだいメディアテーク」では震災にまつわる記録を写真や映像、文書で紹介する企画展が4月21日まで開かれている。

生存した時代を詳細に再現 リニューアルした福井県立恐竜博物館

3月16日、北陸新幹線が延伸され、金沢・敦賀間が開業する。福井県を訪れる観光客が増えそうだが、その目玉となる一つが、福井県勝山市にある日本最大の恐竜を展示する福井県立恐竜博物館だ。昨年リニューアルされたばかりで、新たな関心を集めている。

40編以上の王朝文学を紹介 金沢市室生犀星記念館

金沢市の室生犀星記念館では、企画展「むかし、女、ありけり―犀星の王朝小説―」が開かれている。犀星は昭和15年に発表した「荻吹く歌」を皮切りに、戦中から戦後にかけて「伊勢物語」「大和物語」などの平安王朝文学に着想を得た小説を次々と発表し、独特の王朝世界を繰り広げた。

ガラスと土器で音を出す 秋田公立美術大学卒業・修了展

秋田県立美術館(秋田市)など3会場で、このほど秋田公立美術大学の卒業・修了展が開催された。中でも、ガラス、そして土器で音を出すという試みが発表され、注目を集めた。

学生時代から才覚を現す 和田誠展/市川市文学ミュージアム

イラストレーター、グラフィックデザイナーの和田誠(1936~2019年)は、映画監督、エッセイスト、作詞・作曲家としての顔も持っていた。和田誠事務所にはそれら仕事に関する膨大な数の資料が残されていたが、2022年度、1000点を超える資料が千葉県市川市に寄贈された。市川市ゆかりの作家、井上ひさしとの仕事の縁からだったという。

見事な歌舞伎の押絵雛 雅な角館の雛めぐり/秋田県仙北市

秋田県仙北市の角館(かくのだて)で、武家が住んでいた内町(武家屋敷通り)と町人の外町で「雛めぐり」が3月3日まで開かれている(写真)。今年は雪が少なく、歩きやすい。

切り紙絵で新境地開いた巨匠 国立新美術館「マティス 自由なフォルム」展

東京・六本木の国立新美術館で「マティス自由なフォルム」展が開かれている。20世紀美術の巨匠アンリ・マティスの後半生の活動の舞台となる南仏ニース市のマティス美術館の所蔵作品を中心に、最晩年の切り紙絵に焦点を当てた。マティス芸術の集大成となったヴァンスのロザリオ礼拝堂も再現展示している。

北欧デザインの煌めき展/郡山市立美術館

北欧でデザインされた陶磁器やガラス器などの魅力に迫る展覧会が福島県郡山市立美術館で開かれている。

阿刀田高著『源氏物語を知っていますか』

『源氏物語』の作者、紫式部を主人公にしたNHK大河ドラマ「光る君へ」が始まり、世界最古の長編小説を本格的に読んでみようという人もいるだろう。いきなり古典の『源氏物語』は難しいから、谷崎潤一郎をはじめとした現代語訳を読もうという人も少なくないと思われるが、それも全10巻近くで容易ではない。そこで勧めたいのが阿刀田高氏の『源氏物語を知っていますか』(新潮文庫)だ。

【フランス美術事情】ダ・ヴィンチの最高傑作「モナリザ」

近年、世界的名画が、環境保護の若い過激な活動家によって襲われることが増えている。フィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」、クロード・モネの「干し草の山」、エドヴァルド・ムンクの「叫び」などが被害に遭っているが、中でも今年レオナルド・ダ・ヴィンチの最高傑作とされる「モナリザ」にカボチャのスープを投げつけた衝撃は大きかった。

東大寺に春を告げ 若狭と奈良を繋ぐ「お水送り」

東大寺に春を告げる祭り「お水取り」は修二会(しゅにえ)とも呼ばれ、1300年余の歴史がある。3月1日~14日まで繰り広げられ、クライマックスが12日深夜から翌日の未明だ。その水を送っているのが、福井県若狭地方。直線距離にして60㌔余り離れている。

水彩画家・春日部たすくとの交流描く 「会津人士交流録」展 斎藤清美術館

福島県会津出身の世界的木版画家・斎藤清と、会津出身の画家との交流に焦点を当てた企画展が斎藤清美術館(福島県河沼郡柳津町)で開かれている。

店蔵絹甚/埼玉県飯能市 歴史的建造物でひな飾り

埼玉県飯能市の大通り商店街は、江戸時代に、六斎市(ろくさいいち)と呼ばれる月に6回の定期市が開かれた所。「飯能縄市」ともいわれた。この通りには歴史的建造物がいくつも残っていて、その一つが市指定の有形文化財、「店蔵絹甚(みせぐらきぬじん)」だ。

渡辺保著『吉右衛門 「現代」を生きた歌舞伎役者』

「吉右衛門の訃報を聞いた時、私は足元の大地が崩れ落ちていくような、喪失感を味わった」

「築地塀を追いかける」/秋田城跡歴史資料館

秋田市立秋田城跡歴史資料館で企画展「築地塀(ついじべい)を追いかける-秋田城をめぐる2・2㎞の塀-」が開かれている。

スサノオ 高天原の悪神から地上で善神に転身

古事記などを読んでいると、神話時代の英雄ともいうべき人物が矛盾性を持っていることに気付かされる。

【フランス美術事情】リヨン美術館で「遺跡の形」展

日本では能登半島地震で生まれた瓦礫(がれき)が多くの人々の記憶に焼き付けられている。ウクライナの戦争で廃墟(はいきょ)と化した都市、パレスチナ自治区ガザの瓦礫の山を世界中の人々が映像を通じて目撃している。一方、美術の世界にも廃墟をテーマとした作品が残されている。

ワインの試飲と販売も 山梨県河口湖町「旅の駅」を歩く

山梨県河口湖エリアの観光地に、2022年6月、複合型商業施設「旅の駅」(写真)がオープン。このエリアには河口湖南岸に「道の駅かつやま」があり、名前が似ているが「旅の駅」の方が規模が大きい。

充実した文献「山内祥史文庫」 太宰治文学サロン/東京都三鷹市

東京のJR三鷹駅の近くに太宰治文学サロンがある。時々訪れる展示館で、企画展が面白かったが、2020年に三鷹駅前の三鷹市美術ギャラリーに太宰治展示室ができて、企画展はなくなった。

注目ワード

人気記事(1週間)

おすすめ記事

Google Translate »