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「PCR、抗原、抗体」3つの検査で母数増を


新型コロナ対策の視点 太田和宏記者
緊急事態解除の根拠に必要

 政府にとって国民の命を守ることが大前提であるが、国民のストレスは増すばかりだ。経済の疲弊も想像を絶するものとなってきた。

 新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」は、今月6日に終了予定だったが今月末まで延長された。14日には専門家の意見を聞き、部分的解除に向けた中間評価を下す。その中で解除の数値基準を明らかにする方針だ。

 しかし、専門家の判断の前提条件となる「人口に対する罹患率」「感染したが発病しなかった」「症状が出たが回復した」「重症化した」など、明確な数値が示されなければ、専門家が判断するのは難しいだろう。ムードや期限にこだわって解除することは許されない。

 その際、有効なのは、「PCR検査」「抗原簡易検査」「抗体検査」の三つの検査を組み合わせて客観的な数値を得ることだ。

 PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)は鼻や喉の奥から検体採取後、ウイルスを増殖させ、着色、体内にウイルスが存在するかどうか判断するもの。

 諸外国に比較して検査数が極端に少ないのは、さまざまな利権が絡んでいたり、検査技師数の不足、検体を採取する医師の技量上の問題、検査機械の不足などの要因もある。医師会は検査数増に全力を挙げているが急速に増やすことは簡単ではない。

 抗体検査キットは特殊なシートと培養液のキットがあれば簡単に検査できる。血糖値検査のように、指先に小さな傷を付け、血液一滴分をスポイトで取り、キットの皿に乗せ、付属の培養液を一滴垂らす。15分で感染しているかどうか、抗体のある・なしが判定できる。急性期に生じるIgM抗体とその後に産生されるIgG抗体を分けて検査することができ、感度98%、特異度98%、偽陽性率2%、偽陰性率2%と非常に高精度な性能を有している。厚生労働省は検査キットの性能評価調査を始めた。

 また、抗原簡易検査キットはPCR検査より短時間で感染の有無を検出できる。国内メーカーから薬事承認に向けた申請があったことを厚生労働省がこのほど明らかにした。

 抗原検査は簡易検査の一種で、コロナウイルス特有のタンパク質に反応する試薬を使い、ウイルスの有無を調べるもの。インフルエンザなどの診断と同様、鼻の奥の粘液などを綿棒で採取して検査する。

  感染者が発生した企業または学校、公共の場などでのクラスターによる接触者の検査、空港等海外からの入国者の検査、症状は無いが自身感染不安があり、他者への感染を懸念する人の検査など、検査の利用目的は多種多様ある。

 数値計算の母数となる「PCR検査」「抗原簡易検査」「抗体検査」という“三本の矢”を使って、検査件数を大幅に増やし、感染者・非感染者、軽傷で済んだ、抗体を持っている、既往症があり重篤となったなどの割合・数値を明確にする必要がある。

 人類はペスト、天然痘、スペイン風邪など、さまざまな地球規模のウイルス感染症と戦ってきた。その教訓を生かし、英知を結集して国の持てる力を総動員しこの国難を克服しなければならない。